一期一食
#53「Deep dive FUKUOKA 2 —ジビエを超えた野性料理—」
今年は福岡に毎月訪れることになりそうで、行くたびに新しいサウナやお店に行っている。福岡で新しいプロジェクトをやっていますが、やっぱり新しいことはドキドキしますね。どの地域に行ってもだいたい探すお店は決まっているんだけど、ここは絶対人とのつながりがないとたどり着けないすごいところだった。仲のいい人は福岡に来るたびにみんな連れていきたいお店かもしれない。今日の一期一食は、岡垣町にあるジビエ料理屋べんけいです。
静岡の伝説の猟師(罠師)・漁師である片桐邦雄さんという方はご存知でしょうか?有名な漫画にも登場されていたり、ドラマでもこの方をモデルにされた役がたくさん出てくる方です。その方に憧れて、石垣島などでも活動されてから昨年福岡でお店を出されました。
とにかく、お店の雰囲気がすごい。野性味あふれる文字に「討伐数」の言葉。強い。
イノシシ、アナグマ、シカの数字が並ぶ。
中に入ると、飾らないお店にどどんとテーブルと椅子が置いてあって、そこに座ってご飯が始まる。焼き肉としゃぶしゃぶとすき焼きから選べるのだけど今日は焼き肉を選んだ。
その前にガッツリ前菜や料理も並んだ。
ジビエで作られたパテ・ド・カンパーニュやハムのサラダ
ジビエで作られたソーセージ
ジビエのスペアリブ(あの有名店のオマージュな気がする)
飲み物は、冷蔵庫に入っているものをセルフサーブする方式でした。本当に家にいる感覚で食べる感じです。仕上がってきたので、そろそろ焼き肉って思いながら少しずつ体の変化を感じていくのです。なんか違うなと・・・
ジビエの焼き肉(イノシシとシカとアナグマ)
もう見てよ。美しいでしょ?じゃんじゃん焼いていくわけですが、言い方に語弊があるかもしれないけど、ジビエを食べている感覚がないくらいお肉のお味がとっても素直です。巷に言う匂いが強いとかそういう類話はまったくないのです。むしろ、適切に処置されて食べるジビエは、生命力も強く、癖もまったくないし、脂だって体に負担が少なくて、食べていて苦しくないんです。東京に帰ってから食べた牛や豚の方が重たく感じるくらいで・・・
お肉は、ホットプレートで焼くんだけど、理由があって、
脂や旨味がたくさん出るので、野菜に旨味と脂を吸わせて、食べると野菜がとにかく美味しい。地元の野菜が多いんだけど、とにかく進む。むしろ、野菜を食べたいから肉を焼く感覚になっていく。
そして、ホルモン!めっちゃ美しいでしょ。身体が反応していくんですよ。命をいただくことを体で感じ始めます。
まだまだ料理はあるんですが写真はこのへんで・・・
食べながら、店主の永山さんが実際にジビエを仕留める動画を見せていただきながら、命をいただくことの意味を改めて考えることもできました。「いただきます」「ごちそうさまでした」という言葉の意味は、命をいただき、料理への敬意を示すものです。自分のアンテナを鋭くする一つのキーは、日常にある一つひとつの行動や感情を丁寧に紐解いていくこと。面倒だったり、当たり前と処理しないできちんと向き合うこと。その積み重ねを行うこと。積み重ねがとても大事。効率性だけじゃ身につかないものへの価値がこうやって日々上がっていくことを僕は望んでいます。経済性や効率性じゃない。人生はそれじゃ味気がないよ。
そんなことを、野性味あふれる一夜に感じて、糧にして、また東京に帰るのでした。
- Bassist
濱田 織人 / Orito Hamada
ベーシスト、音楽プロデューサー、クリエイティブディレクター、NPO法人SOMA副代表理事、アトリエリスタ、茶道家。芸術修士(MFA)。スタジオミュージシャンとして演奏活動しながら、作編曲、作詞、プロデュースと幅広く活動。2017年クリエーティブブティック創業後、活動範囲を音楽以外にも拡大し、芸術教育などにも力を入れ始め、NPO運営にも携わる。日本唯一のベースの専門誌ベース・マガジンにて連載経験あり。プライベートでは、裏千家茶道家として初音庵主宰。密かに楽しんでいたサウナの魅力をゆるやかに発信中。サウナ・スパプロフェッショナル。 https://www.instagram.com/oritosroom/
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