Art of Drink
飲食で使われる「コラボ」と「ポップアップ」って?
最近飲食業界でよく耳にする「Pop-up (ポップアップ) 」「Take over (テイクオーバー) 」なんて言葉をご存知だろうか?
直訳すると短期間のみ出店したり、海外の店舗が期間限定で既存のお店を乗っ取るかたちで営業すること。なぜ増えはじめたのか。その理由はというと、不景気のあおりで空き店舗になった場所をお店として有効活用しようとする動きだったり、若いシェフがリスクの少ない期間限定のレストランや、ネットワークを広げるために不定期にレストラン (サパー・クラブ) を開店したりといったことが挙げられる。そして最近は企業も興味を持ち始め、その話題性をうまく利用し始めていたりする。
だから、世界のレストラン業界、さらにバー業界でもこういった形が結構頻繁になってきている! (そして、そういう方が楽しいw)
▲ 目移りしそうなメニュー! どれも日本では見ない味の合わせ方です
そういえば最近も、世界的に有名な日本人バーテンダー後閑信吾氏が東京・渋谷に新しいバーをオープンさせるために、昨年できた[Trunk Hotel]にてPop-upイベントをしていました。
▲ 右・後閑信五氏。左・後閑氏のパートナー鈴木敦氏
[The SG club] (新しいバーの名前) で提供予定のカクテルを6種類も作って大盛況。こちらは新しいお店のPRや実際にバーで出されるカクテルを出してお客さんに事前に知ってもらうというアプローチにもなっていた。
▲ 左・Five Apples 右・Wagyu Old Fashioned
そんな中、私もどこかとコラボして自分のカクテルを提供できる場所はないものかと探していたら、なんと昨年オープンしたばかりで話題を集める目黒の[Kabi]からお誘いが。
▲ 1回目のコラボバー Bar A-bi (e:bi)
お店の2階が空いているのでコラボバーをできないか?と。それはメッチャ面白そう!という直感とともに、ここでしかない化学反応が生まれる予感がしたので早速やってみることに。
カクテルの内容としては、[Kabi]で作っている発酵ジュースやお茶を使ったり、最近流行っているクラフトジン使ったり、サステナビリティのことも考慮に入れつつの内容で、蓋を開けて見たら結構コンテンツが盛りだくさんでした。
▲ Kabiの二階のバーとKabiのスタッフたち
今回[Kabi]とのコラボバーを自分なりにやってみて、やはりこういうコラボは場所ならではの味もしっかり出しつつ自分の経験というレイヤーを重ねて行くのが一番しっくりくる気がしました。
どのように1杯のドリンクを構成して行くか、どんなコンセプトなのか、どういうブランドなのか、そしてどの要素を入れたら美味しく、かつ楽しんでもらえるか。
このようなコラボ・ポップアップはこれからもどんどん増えて行くと思いますし、自分も参加させていただく機会が増えるでしょう。また同時に、もっと違う形のアプローチもいろいろ考えられる。例えば空き家をリノベして数ヶ月間限定オープンとか、移動式バーとか……。実はこれについては先例があって、アメリカで私の友達がフォルクスワーゲンのバンを改造して中にバーを作り今アメリカ国内を回っているんです。彼はこれから自分のバーを出す予定なんですが、それまで時間もあるしもっと自分の存在を知ってもらいたいからこの移動式バーを考えたよう。
自分としても、これまで作って来たものの蓄積を披露できる場所は、もっとたくさんあったほうがありがたい。改めてそう感じました。
やはり、もっといろんな可能性を広げて次のコラボ・ポップアップのあり方も考えていきたいですね。
- ABV+ CEO
野村 空人 / Soran Nomura
21歳で単身渡英、7年間ロンドンのバーでバーテンダーとして活躍したのち、2016 International Best Restaurant bar of The Year に輝いた Hawksmoor Spitalfields barのヘッドバーテンダーを務める。帰国後、ノルウェーの名店Fuglenの海外初店舗で有るFuglen Tokyoに入社し、数々の賞を受賞。現在はFinlandのKyrö distillery companyのJapan ambassadorとして活動中しながら、今年からドリンクコンサルタント会社ABV+を立ち上げた。
www.abvplus.com