茶縁

日本茶礼讃 日本人に生まれてよかった (前編)


Nobuyoshi TajimaNobuyoshi Tajima  / May 21, 2018

太古の昔から私たちの先祖が愛でてきた緑茶

緑茶とは茶葉を発酵させないで作った不発酵茶です。ポリフェノール、カフェイン、クロロフィルなどが多く含まれ、デトックス、覚醒、疲労回復、リラックスなどの作用があるとされています。

日本人というか東アジアのお茶文化圏の民族は、長い間、緑茶を飲むことを習慣にしております。烏龍茶や紅茶などの発酵茶と呼ばれるお茶が出てきたのはアヘン戦争のあたり (1840~1850年頃) から。それ以前はお茶といえば緑茶を指していました。

日本は緑茶の国で、抹茶、煎茶、釜炒り茶、焙じ茶、番茶はみんな緑茶です。地域ごとに千差万別で個性豊かな緑茶がありますが、日本茶はひとくくりにされて、産地や品種別の個性は影を潜めております。

お茶の販売をしていて「美味しい日本茶を飲んだことはありますか?」と尋ねると、そんな経験はほとんどないとよく言われます。ペットボトルや飲食店で日本茶は提供されており、経験はたくさんあるはずなのに、どうしてでしょうか?

それは、美味しいお茶を飲みたいと、日頃意識していないから。

ふだん口にするお茶もちょっと視点を変えるとお茶の美味しさや奥深さをより強く感じることができるはずです。

▲ 茶畑から眺める美しい富士山

人間には富士山は美しく見えるといった審美眼があるように、美しい自然を慈しむ本能が備わっていて、お茶を単なる渇きを癒すドリンクとしてではなく、お茶のもつ自然な香りや味わいを察知できる感性をもっていると思います。ふだんからお茶の香りや味わいを意識していると、段々と違いに気づくはずです。(つづく)

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