圧倒的パンケーキが完全にトバしてる
表参道のオールデイダイニング[Hotel’s]の新しいブランチ
表参道のApple Storeの裏通りを歩いて10分足らず、公園のように開けた一角に“架空のホテルのレストラン”をコンセプトにした[Hotel’s]がある。高級ホテル/高級レストランクオリティの料理を朝昼晩を通じて気軽に楽しめるオールデイダイニングとして、2021年のオープンから2年半好評を博してきた。
この4月からは、モーニング&ランチメニューを大幅刷新。看板メニューとなるのが、トップ写真に映る「メープルトリュフエッグベネディクトパンケーキ」。人気だった鮭定食をあえてメニューから外すという大きく舵を切る形となったリニューアルを取材した。
お客さんのニーズを最優先してブランチを再構築
いうまでもなく、[Hotel’s]は、代々木上原[sio]鳥羽周作シェフの系列店だ。コース料理を軸にしてミシュランに5年連続掲載の[sio]の他に[o/sio][パーラー大箸][㐂つね][ザ・ニューワールド][おいしいパスタ][NAGANO][FAMiRES]と多彩なジャンルの店舗を展開、フードカルチャーをアップデートし続ける鳥羽氏だが、今回のメニューリニューアルについては「レストランのメリット・デメリットではなく、お客さんにとって一番いい形を考えた」と特に力を込めている。
「労力や単価を考えたら、レストランがこのレベルでブランチをやるメリットはあるのか? ふつうならやらない。そこを突き抜けてこそ可能性があると思うんですよ」
突き抜けているとはどういうことか? 新たな看板メニューである「メープルトリュフエッグベネディクトパンケーキ」の準備がカウンター席の目の前で始まると、それを理解するのに時間はかからなかった。
20種類以上の食材が使われている彩りのサラダ。葉物、キュウリ、アボカド、トマトといった野菜だけではない。ナッツやフルーツに、スパイス、穀物、エディブルフラワーまで。レンコンはフライしてあったり、調理台に覗く仕込みバットの中を見るだけでその手数の多さが窺い知れる。
そして登場するのがこちらの一皿。3枚重ねパンケーキのお立ち台に、ベーコン、ポーチドエッグがのぼる。そこに白トリュフを使ったオランデーズソースが覆い被さり、もうそれだけで贅沢なパンケーキなのだが、華やか極まるサラダの花冠がパンケーキを囲む。
「“パンケーキ”に入っていてほしいものを素数まで分解して考えて、ゼロから組み立てました。プロがこだわりを詰め込んだらここまでいくんだっていうパンケーキです。仕込みは当然大変なわけですけど、食べに来てくれた人を感動させたい。『ここまでやってくれるの!』とお客さんに思ってもらうことがレストランの仕事なので。わざわざそこに行かないと食べられないものがあるかどうかがめちゃくちゃ大事なんです。そこを目指して今回はやり込みましたので、自信あります!」
いつもながら力強い鳥羽シェフ
メープルシロップをたっぷりかけたら
お好きなところから召し上がれ
まず感じるのはオランデーズソースから香り立つトリュフ。ポーチドエッグに入刀したら、パンケーキを切り出して一口。甘さに塩気、贅沢な香り、ふわふわでもっちりしたパンケーキの食感に、ソースと卵のとろみが絡まる。
思わず「食べたことない!」という言葉がこぼれた。
「みんなが好きな味を集めて配置してるんです。映えるのはもちろん、レストランとしての味づくりにも圧倒的にこだわってやり切ってますから」
やり切る精神は細部までぬかりなし
こだわりは“パンケーキ”だけではない。スープは[Hotel’s]では定番となっている人参のポタージュ。えぐみをもたらす白い部分は取り除き、シンプルな仕立てで素材の味が沁み入る。クルミのオイルもアクセントになっている。
人参のポタージュ
そんなポタージュがつきながら、手軽な値段で楽しむことができるのは“ホットケーキ”以外にも。「アボカドのスモーブローセット」も「ヴィーガンサラダボウルセット」も見た目の美しさはもちろんお口の満足度もさすがのクオリティ。
「ヴィーガンサラダボウルセット」(左)、「アボカドのスモーブローセット」(右)、右手前は「根セロリのポタージュ」
バリスタ世界チャンピオンの粕谷哲氏からレクチャーを受けたスタッフが淹れるオリジナルブレンドもぬかりない味
インテリア、音楽まで最先端をおさえたこだわりが行き届く。カトラリーのナイフも包丁職人に定期的に研いでもらっているという。
いつでもこんなモーニング&ランチメニューが食べられたらなんて幸せか。そんな願いはすでに[Hotel’s]で現実になっている。
おでかけの一日を最高の料理でスタートしてみてはいかが?
Hotel’s|ホテルズ
東京都港区北青山3-4-3 ののあおやま2F
Google Maps
TEL 03-6804-5699
IG @hotels_kitaaoyama
X(TW) @Hotels_1001Photo by Oota Taro @taro_oota
Text by Yoshiki Tatezaki
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