
古舘佑太郎「あの人とあの店で」
崎山蒼志くんと「もうやん飲み」がしたい(1/3)
俳優、ミュージシャンとして、さらには『カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10カ国激闘日記』を著すなどマルチに活躍する古舘佑太郎は、食べることにも一家言あり。彼独自の視点から「あの人」と「あの店」を繋ぎ合わせ、食事を介して対話する。
記念すべき初回のゲストは、シンガーソングライターの崎山蒼志さん。念願の初飲みの模様を全3回でお届け。
ピーンと来た、崎山蒼志ともうやん飲み
古舘 [もうやんカレー]に来るのは何回目ですか?
崎山 2回目です。
古舘 最初はどういうタイミングで?
崎山 新橋にいた時に、お昼時でお腹がめっちゃ空いてて、新橋の[もうやんカレー]に入ったんです。
古舘 ランチビュッフェね。
崎山 でした。「お、ビュッフェなんだ」って思いました。美味しかったです。
古舘 俺も最初そうだったの。「もうやんカレー」って名前はめっちゃ聞いてたし、この辺の飲食店で昔バイトしてたことがあって看板もよく見てはいたんだけど、しばらく入ったことはなかった。カレーってご褒美的な存在だったから、毎日食べると太るとか、そういう対価を伴うみたいなイメージを持っていたんだよね。でも「もうやんカレーって旨くてグルテンフリーで」みたいな話を友達から聞いて、それで連れて行ってもらったのが最初。そこから激ハマり! もう8年ぐらい来てる。ここ、元々「カレー屋」ではなかったのね。社長がアスリートの身体のことを考えて野菜のごった煮を作っていて、めっちゃ旨いから「もうやん丼」と名付けてお店で出そう、と。そうしたらみんなから「これカレーだよ」って言われて、そこで初めて「カレーなのか」ってなった。つまり[もうやんカレー]は、自然発生的に“カレー”になったっていうこと。健康カレーを作ろうとして作ったというよりも、旨いものを追求した結果だったんだって。しかも夜は飲めるっていう。
古舘 今回RiCEさんと一緒に連載企画をやろうってなって、その打ち合わせの一発目に言ったことが「もうやんカレー」と「崎山蒼志」っていう二つだったの。
崎山 ありがとうございます!
古舘 その二つが合わさんないとダメだから、どっちかに断られたらもう一回ゼロから考え直すつもりだったくらい。崎山くんは今回、なんで出てくれたの?
崎山 以前から古舘さんの楽曲を聴いててっていうのもありましたし、最近古舘さんと共通の知人が何人かいらっしゃって、そこでお話を聞いていたりだとか。「会いたい」と言ってくださっているという話も耳にしてて、そんなこと言ってくださってるんだ!と思って。僕も会いたい!と、畏れ多い気持ちですが。
古舘 でも実は初めましてじゃないって知ってた? 話すのは初めてなんだけど、名古屋クラブクアトロのサーキットライブで前後したことあるの。俺は一方的に崎山くんのことを知ってたから、どう声かけていいかなみたいな。
崎山 確かに、今思い出しました!
古舘 すれ違いざまに「失礼します」みたいな感じだけで、お互い声かけられず。もうてっきり、崎山くんは俺のこと知らないって思ってたから。
崎山 あの時移動しなきゃいけなかったから。ドタバタでしたよね。
この日は辻社長直々にサービスしてくれた。[もうやんカレー]のレシピを知る唯一の人物である創始者・辻社長を、古舘さんは大リスペクト。「『令和の虎』のYouTubeは20回以上見てますよ!」と、この日の邂逅に感激
おつまみも到着。マサラキャロットラペ、トロトロコールスロー、カモ炙り焼き、汁なしかれーおうどん。古舘さんのおすすめチョイスに、辻社長も「これはすごくいいチョイスです!」と嬉しそうに太鼓判を押す
古舘・崎山 いただきます!
古舘 この間も夜来て、もうやん飲みをしたんです。もうやんの味って他で味わえないんですよ。独自のアイデア、こだわりで作ってるから。このうどんも、作る過程で出たロスの食材を使って生まれたんですよね。
辻社長 よく知ってますね!
古舘 本当に好きなんです。うどん本当に食べてほしい。混ぜて混ぜて! 左利きなんだ?
崎山 そうです、サウスポー。
古舘 サウスポー感めっちゃあるもんね。
辻社長 ちなみにうどんの横に添えてるタレはめっちゃ辛いです。カレーと混ぜても美味しい。で、今密かに計画してるのが、そのエビのタレをうどんに乗っけて食べるっていううどん屋さん。
古舘 そうだ、うどん屋さん作るみたいなこと聞いてました! 計画が進んでるんですね。
崎山 わ、美味しい。
古舘 夜来るといつも満卓で。みんなお酒飲んで、飲み会やってる。カレーって昼のイメージあるから昼しか来たことなかったけど。
崎山 野菜いっぱい食べられて嬉しいですね。
古舘 野菜をばーっと乗っけて、そこにルーとチキン乗っけたりして。そうするとさ、グルテンフリーだし米も抜けるし、でもお腹いっぱいになるっていう。
崎山 僕それやります。少し痩せたくて……。
古舘 それ一週間やると痩せるよ。5年前ぐらいに映画の撮影の前に痩せなきゃいけなくて、もうやんで野菜とルーを食い続けるっていう。
崎山 鴨もめちゃくちゃ美味しいです!
独自の道行くミュージシャン
古舘 なんか崎山くんってもっと怖い人なのかなと思ってた。
崎山 それたまに言われます。静かとか。全然、けっこう喋るっていう。
古舘 俺はけっこう喋るタイプだから、今日も控室でウザがられたらどうしようってちょっと心配してた。そしたら崎山くんもけっこう喋る人だったから安心した。
崎山 めちゃくちゃ喋ります。
古舘 昔から?
崎山 昔から友達からは“べしゃり”だと思われてました。音楽がこう一人でやるイメージがついてるので。友達とかからしたら、あの姿の方が意外だと思います。ベシャリ眼鏡って呼ばれてましたよ。
古舘 ベシャリ眼鏡!(笑)それこそ自分の周りの信用しているクリエイターたちが、崎山くんに対してめちゃくちゃ情熱を注いで仕事をしているのを知っていたから、それで話してみたいなと思って。
崎山 ありがとうございます。みなさんに感謝だ。
古舘 枝優花監督がMV撮ったこともあるんだよね?(崎山さんの楽曲「Samidare」「Heaven」「Undulation」のMV(2021年)を枝さんが手がけた)
崎山 3部作やって、枝さんのドラマでも。『スイーツ食って何が悪い!』っていうTOKYO MXの番組で初めて演技をしました。
古舘 演技してるんだ! どうだった?
崎山 めっちゃ緊張しました。でもあまりセリフがない役だったんで。
古舘 でも楽しめた?
崎山 楽しかったですけど、よくみなさんセリフとか覚えられるなと思って。
古舘 俺、勉強は苦手なのに記憶力だけはかなり良くて。数学とかも計算で解けないから、教科書全部を暗記してテスト受けてた。教科書の全てを覚えてるから計算する必要ないの。記憶力だけはいいんだよね。
崎山 初めて聞きました、教科書全部覚えた人。
古舘 中国語とかもそれでやってた。でも崎山くん記憶力良さそうだけどね。
崎山 記憶力悪いっすね。
古舘 そっちの方が羨ましいけどね。だってそっちの方が良くない? 要はこの瞬間だけを感じれるわけじゃん。自分は過去に引きずられすぎて……。
崎山 でもそれはすごくわかります。過去の気持ちみたいなものはすごく覚えてるから。過去と今と未来みたいな。なんか常に不安。
古舘 全く一緒。過去の自分のダメだったこととか後悔とかをずっと引きずって、未来の起きないだろうことまで不安に感じて、今を何も見てない。って、ピラティスの先生に言われて。
崎山 え〜、ピラティスの先生に!
古舘 そう。「あなたは今に生きてないから死んでる」って言われて。
崎山 やばっ。
古舘 ふつう人は、散歩してそよぐ風が気持ちよくて、木々が揺れたりとか花が綺麗だなとか思うよって。でも自分は思ったことない。見てない、散歩ができない、常に焦ってる、それ言われた時に愕然とした。崎山くんはおっとりしてるイメージあるよ。
崎山 あ、でもそれはそうかもしれないです。ただ、今月もそうなんですけど、良いことがめっちゃあると悪いこともめっちゃあるというか、その幅がけっこうすごい。でもなんか心はゼロにいるというか。
古舘 崎山くんの始まりというか、世に出たのが相当特殊じゃん。
崎山 そうですね、AbemaTVの『日村がゆく』で。(中学三年生の時に出演した番組で「五月雨」を弾き語りで披露し話題に)
古舘 いきなりみんなが「崎山蒼志はこうだ」って始まるわけじゃん。『トゥルーマン・ショー』って映画わかる? その状態っていうか。みんながトゥルーマンの成長をずっと見てるみたいな。崎山くんのキャリアって他にあんまりないじゃない。「芦田愛菜、鈴木福、崎山蒼志」ってくらい。それってどうだった? 葛藤とかあった?
崎山 ありました。願わくばもうちょっと完成してから出たかったとも思いますし。でもまぁ、あれはあれで。
古舘 めっちゃ独自の道だよね、崎山くんって。
崎山 独自の道を歩み続けるしかない気がしてます。
古舘佑太郎|Yutaro Furutachi
俳優、ミュージシャン。1991年4月5日生まれ、東京都出身。2008年、バンド「The SALOVERS」を結成し、ボーカル・ギターとして活動スタート。2015年、同バンドの無期限活動休止後、ソロ活動を開始。2017年、新たなバンド「2」を結成し、2021年に活動休止。2022年にバンド名を 「THE 2」に改め再開するも、2024年に解散。俳優としても活躍し、2014年、映画『日々ロック』でデビュー。以降、NHK 連続テレビ小説『ひよっこ』、NHK 大河ドラマ『光る君へ』などに出演。主演映画に『いちごの唄』『アイムクレイジー』などがある。今年3月12日には初の書籍『カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10カ国激闘日記』が発売された。(新刊発売インタビューはこちら)
IG @yutaro_furutachi崎山蒼志|Sakiyama Soushi
シンガーソングライター。2002年8月31日生まれ、静岡県出身。2018年、『日村はゆく』(Abema TV)の出演をきっかけに注目を浴びる。同年、16歳でファースト・アルバム「いつかみた国」をリリースし、2021年にアルバム「find fuse in youth」でメジャーデビュー。多数の映画やドラマ、アニメの主題歌を提供。2023年7月19日にはTVアニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折』のエンディングテーマ「燈」をリリースし、ストリーミング総再生数は1億回を突破。今年4月25日公開の『パリピ孔明 THE MOVIE』では劇中歌を書き下ろした。また、2025年1月には初のエッセイ集『ふと、新世界と繋がって』も発売され、文芸界からも注目を浴びている。
IG @soush.i_sakiyamaもうやんカレー 246 渋谷店
東京都渋谷区渋谷1-7-5
Tel 050-5462-2922
WEB moyan-shibuya.foodre.jp
IG @moyancurry_official衣装(古舘さん)
トップス ¥29,700、ボトム ¥44,000 / 共に Old park (オールド パーク、HEMT PR 03-6721-0882)
シューズ / スタイリスト私物衣装(崎山さん)
ニット ¥59,400 / Kota Gushiken (コウタ グシケン、info@kotagushiken.com)
ボトム ¥34,100 / KHONOROGICA (コノロジカ、HEMT PR 03-6721-0882)
インナーカットソー、シューズ / スタイリスト私物Photo by Mishio Wada(写真 和田美潮)
Styling by Kie Fujii(スタイリング 藤井 希恵)
Hair & Makeup by Asumi Washizuka(ヘア&メイク 鷲塚明寿美)
Text by Yoshiki Tatezaki(文 舘﨑芳貴)
Edit by Ai Hanazawa(編集 花沢亜衣)
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