日本茶シーズン開幕! 茶農家を知ればお茶はもっと味わい深くなる

「OCHA Owner」が導くお茶体験とその先にあるもの


桜前線が通り過ぎると、新茶前線が動き出す。暖かくなるにつれて芽吹く新芽を摘み取る「一番茶」は、日本茶のシーズン開幕を告げるめでたい風物詩。

しかし、その一方で日本の茶業界を取り巻く環境は決して優しいとは言えない。物価高が叫ばれる近年においても、日本茶の市場価格は毎年下落を続けているのが事実。肥料や燃料など、お茶をつくるのに必要なコストは上昇するばかりで、「来年のお茶はつくれない」と苦渋の決断を強いられる農家さんが毎年のようにいるという実情だ。

そんな逆風の中でも、いやだからこそ、お茶に情熱を注ぎつづける農家さんの姿は眩しい。日常に当たり前のように存在する日本茶を、そのつくり手と繋がることで、より豊かな体験にしようという取り組みが今年、本格始動した。

お茶をつくる人と出会い、共に支える「OCHA Owner」

“時間をかけて味わう消費体験”を生み出すECプラットフォーム・nokNokが提供する「OCHA Owner」は、静岡・埼玉の茶畑での茶摘み体験やオリジナルの茶葉・ティードリンクを自宅にで楽しむことができるサービスだ。

例えば、この新茶シーズンに茶畑で茶摘みに参加。仕上げられた茶葉が後日、その茶園から自宅に届けられる。夏にはその茶園の茶葉をベースに作られた缶入りドリンクが、そして秋冬にも茶葉が届き、また現地イベントももう一回程度開催といった具合。

味わうこと+体験がセットになったサービスだが、これは消費者にとっても生産者にとってもWin-Winの関係性を前提としている。茶畑をユニークベニュー(そこにしかない場)として活用することで、茶農家にとっては茶生産以外の副収入の機会が生まれる。また、オリジナル商品という価値を付加することで、お茶に市場価格よりも高い値をつけることが可能になる。先述した茶業界の課題に対して、私たち消費者が一緒になってアプローチできる機会でもある、ということだ。

そういったロジックも特筆に値することながら、ポイントはなんと言っても情熱溢れる生産者と出会えるという部分だ。今回は静岡県内で3軒、埼玉・狭山で1軒の茶園が参加している。nokNokチームが何度も足を運び、膝を突き合わせて語り合い、共感の上にコラボレーションが実現したのだ。nokNok共同代表の水野恵輔さんが、四者の魅力について語ってくれた。

埼玉・狭山[奥富園]、奥富雅浩さん

「狭山茶は、静岡茶、宇治茶と並び『日本三大茶』の一つに数えられているのにも関わらず、認知度は比較的低い。東京から近いのに、行ったことがある人はほとんどいません。『コンビニより多い』とまで言われてきた狭山の茶農家は減りつづけ、茶畑のある風景は、毎年、住宅地へと塗り替えられています。そんな苦しい業界に落胆する人、伝統は変えずに守るべきと言う人が少なからずいる一方で、奥富さんの姿勢には感銘を受けます。長くつづくものであれば、良い時代も苦しい時代もあって、たまたま自分が背負ったのは苦しい時代なのだと言います。苦しい時代だからこそ、新しいことにチャレンジもすることが大切と言い、実際に実行するバイタリティ。何より、多くの人に愛されるお茶づくりのクオリティ。家業という枠を超えて、狭山という産地を背負う奥富さんの心意気に共感し、僕たちも一緒に『今までにない』取り組みに挑戦したいと思いました」

狭山[奥富園]のお茶オーナーの詳細はこちら
🌱5月3・4日に、新茶のお茶摘み
🌱茶畑に囲まれたテラスでのお茶や軽食などのアクティビティ
🌱他にない、夜のお茶摘み体験も選べる
🌱8月2日には、お茶摘み&テラス体験や、お茶を微発酵させる工程を見学しお茶を味わうイベント

静岡・玉川[志田島園]、佐藤誠洋さん

「『若くて素晴らしい茶農家さんがいる』と、業界の異なるこれまた素晴らしい人々から、”推し農家”として何度も噂を聞いていました。玉川は自然に抱かれた集落ですが、その実、過疎化も進んでいる地域です。現地を訪ねると、噂通り若いご夫妻が二人三脚、そこにご両親も一緒に家族で営む茶農家さんの姿がありました。どちらかというと大人しくゆっくりと語る佐藤さんですが、話を聞いていくと、そんな印象とは裏腹にものすごく熱い思いが感じられました。「静岡茶にはもっともっとポテンシャルがあるんだ」ということを常々感じていると言います。“人を呼べる茶園”を実現するために、自分の手で道を造り、テラスを作り、本当に人を集めてしまう行動力。茶業という枠の中のみならず、新しいものを生み出す可能性を感じさせてくれる人です。だからこそ、私たちも伴走したいと思い、ご一緒させていただきました。

玉川[志田島園]のお茶オーナーの詳細はこちら
🌱5月10・11日に、新茶のお茶摘み、お茶がつくられる工程を直近で見れる工場見学、テラスでのお茶や軽食などのアクティビティ
🌱11月15日には、静岡の名産品である山葵(わさび)の収穫体験やテラスでのアクティビティを予定

静岡・竜爪りゅうそう、望月幹夫さん

「自分自身20年以上茶業に関わってきましたが、竜爪とは初めて聞く産地であり、静岡の人でも知る人が少ない、それくらい希少なお茶です。最初の出会いは、たまたまそのお茶を飲んだこと。こんなに美味しくて、形状も美しいお茶があるのかと感動し、すぐ会いに伺いました。望月さんはこの道60年の大ベテランながら溌剌としていて、第一印象からとても気持ちのいい方でした。竜爪にはかつて70軒以上あった農家が現在は8軒、茶価も下がり、収入から費用を差し引くとほとんど手元に残らないというお話も聞きました。そんな苦しい中でも、「農家をやめない」「自分にできるのはおいしいお茶を一生懸命つくることだけ」と言って、望月さんは毎年一番茶のみを作っています。二茶、三茶をやれば収入は上がるかもしれないけれど、「一番茶が一番美味しいから」と。器用ではないかもしれないけれど、強い想いと生涯をかけて竜爪のお茶づくりに向き合う望月さんの力になりたい一心で、知る人の少ない茶産地の魅力づくりへと挑戦しました」

竜爪のお茶オーナーの詳細はこちら
🌱6月21・22日に、お茶摘み体験とライトな山道ハイキング、絶景を見下ろしながらのお茶体験
🌱12月6日には、紅葉をみながらのハイキングと、ご当地名物を味わいながらの秋のピクニックを予定

静岡・牛妻[いはち農園]、繁田琢也さん

「周囲から猛反対されたにも関わらず30年以上続けてきた有機農業は、現在も茶業界では極めて珍しい存在です。常に雑草や虫、自然との戦いであるこの農法を続けてきたのは、ひとえに「お客さんに美味しくて身体に良いものを食べて欲しいから」と熱く語る繁田さんはかっこいい。パッケージを見ただけではわからないところで、とんでもない努力と想像力を持ってものづくりをしているんです。同エリアで世代交代できている茶農家は[いはち農園]のみ。行く先を嘆くのではなく、目の前のお客様が美味しくお茶を飲んでくれる姿を想像し、「世界中に千人のファンを作る」と目線は世界に向いています。牛妻も茶産地としての認知度は低い場所。だからこそ近くの人にも、遠くの人にも、世界にもすべからく紹介したい。みんながその素晴らしさを知ってくれる後押しをしたいと思い、ご一緒させていただきました」

牛妻[いはち農園]のお茶オーナーの詳細はこちら
🌱7月5・6日に、お茶摘み&紅茶づくり体験、山頂のパノラマテラスでの風景を楽しみながらのお茶&軽食
🌱12月13日には、こたつ&テラスでパノラマの景観を楽しみながら温かいお茶や静岡ご当地フードを楽しむ時間を予定

各産地の自然環境的な個性もあれば、つくり手の人としての個性もあり、そのことが身をもって感じられることで、お茶一杯にこれまで以上の豊かさを感じることができるだろう。昨年実施されたパイロット版に参加した人たちからは、体験イベントの予想を超える濃密さや、自然環境をリアルに感じられる非日常感、お茶の美味しさ、茶農家さんの人柄に触れられたことへの感動など、反響があったそう。

今年の日本茶シーズン開幕に、ぜひ「OCHA Owner」の一員になってみては?

WEB noknok.life/ocha-owner

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