Licaxxx × 目黒浩太郎(abysse)「誰かに贈るためのクリエイティブ」
音楽と食の共通項。feat. Johnnie Walker
その場のフィーリングに合わせて最適な音楽を選曲・プレイし、フロアをまとめ上げるDJ。厳選された食材を、創造性に富んだあらゆるアプローチを加えて一皿へと昇華させる料理人。異なるフィールドであるものの、選び抜いたモノを独自の表現に高めてアウトプットし、誰かに高揚や幸福を贈り届けている点においては共通するところも少なくない。
世界No.1(*1)ウイスキーブランド、ジョニーウォーカーとの特別企画として、両ジャンルを代表する二人の表現者が登場。音楽と食という、これまで並列に語られることがあまりなかった両者にとって「誰かに贈るためのクリエイティブ」をテーマに対談いただいた。
(※1)IMPACT DATABANK 2020に基づく販売数量
対談の組み合わせは、マシーンテクノ、ハウスを基調にした実力派DJ、Licaxxxと、東京随一の魚介フレンチである代官山[abysse]オーナーシェフの目黒浩太郎。今回は実際に目黒氏からLicaxxxへと料理を贈ってもらい、Licaxxxがその一皿を体感しつつ応答。ジョニーハイボールを片手に熱く語り合う貴重な時間となった。
――――実際にお話するのは今日が初めてとのことですが、Instagramではお互いフォローしあっていたそうですね。
目黒:渋谷のホテルKoeでDJをされているのをお見かけして、すごくかっこいい人がいるなと思って。ファッションや雰囲気も含めて気になる方でした。
Licaxxx:インスタでレストランをチェックすることが多いのですが、目黒さんのお料理は色彩がすごく綺麗なのが印象的でした。純粋にごはんを食べにいきたいなと思っていたので、今日はすごく楽しみです(笑)
Licaxxx(リカックス):東京を拠点に活動するDJ/ビートメイカー/編集者/ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。2016年にBoiler Room Tokyoに出演した際の動画は50万回近く再生されており、Fuji Rockなど多数の日本国内の大型音楽フェスや、ヨーロッパを代表するクラブイベントに出演。NTS RadioやRince Franceなどのローカルなラジオにミックスを提供するなど幅広い活動を行う。
目黒浩太郎::1985年生まれ。魚介類を主役にオリジナリティ溢れる料理を提供する代官山のミシュラン一つ星レストラン[abysse]オーナーシェフ。マルセイユの三つ星レストラン[ル・プチニース]で研鑽を積み、帰国後に岸田周三シェフが率いる[カンテサンス]での修行を経て、29歳の若さで[abysse]をオープン。今年2021年6月に自身初のレシピ本『魚介フレンチの深淵』(旭屋出版)を上梓。
――――目黒シェフからLicaxxxさんへ料理を贈ってもらうということで、実際に調理プロセスも拝見しながらお話を展開できればと思います。ちなみにどんなお料理をご用意いただけるのでしょう。
目黒:いぶしたスマガツオに、2種類のソースをあわせます。季節的にはあたたかい料理、例えばしっかり焼いたお魚もあるかなと思ったのですが、Licaxxxさんのキャラクター的に、華やかながらクールな印象のお料理をイメージしました。ジョニーウォーカーのハイボールにもベストマッチな一品です。
「仕入れ」と「音源を掘る」作業はイコール?
本日のスマガツオは小田原から水揚げされたもの。慣れた手つきで丸々一匹を捌いていく。
Licaxxx:カツオ、ツルッツルですね。なかなか一匹丸ごとを見る機会がないので新鮮です。仕入れは普段どうされているんですか?
目黒:日本各地の生産者や仲卸の方々と密に連絡を取りながら、その時のベストな魚介類を発注しています。それでも予定していた魚が確実に獲れるかは、ギリギリまで分かりません。南の方で当初仕入れる予定だったものが取れなければ、少し北にあたってみたり。天候や海の様子をチェックし、水揚げの予測を立てながら行う仕入れは一番大変かもしれません。
Licaxxx: DJも一緒かもと思いました。音楽を掘ったり買ったり仕入れたりが、一番時間とお金がかかることであり、同時に一番重要なことでもあるんです。
厳選されたスマカツオを手際よく捌いたものがこちら。シルバーの上に輝くピンクは何とも艶やか。普通のカツオより、中トロのような脂の乗り方が特徴的。
「表面と裏面をそれぞれ10秒ほどグリエします」と目黒シェフ。リカックスさんも、@Licookxxというインスタグラム アカウントで自炊の記録を発信。食にも関心が高いだけに、せっかくの機会を見逃すまいと興味津々な様子。
ちなみに「グリエ」とは「グリル」のフランス語読みで、「食材を網の上で直火焼きする」調理法のこと。日本では七輪を使った料理がお馴染みだが、フレンチ的な解釈でカツオを燻す。中身はふっくら表面はパリッと仕上がる。
Licaxxx:香ばしい香りがたまらないですね。早く食べたい!
目黒:今回合わせるソースは二種類です。1つ目はブルーチーズのソース。フランス料理だと鹿肉にブルーチーズ合わせることがあるのですが、カツオって赤身の感じが鹿肉に似ているから面白いかなと。2つ目はハイビスカスのお花のジャムです。これはピンクペッパーが効いているので、華やかな刺激のあるソースですね。
今回の一品は、Licaxxxさんへ贈るということと、「ジョニーウォーカーブラックラベル12年」でつくるジョニーハイボールとのペアリングを楽しめるというテーマで考えていただいた。まずはたっぷりと氷を入れたグラスにウイスキーを注ぐ。
ウイスキーと炭酸水のおすすめの比率は1:3。炭酸水をグラスに注いだ後、マドラーで軽く混ぜれば完成だ。
「少し油分を持ったカツオの燻した感じと、ジョニーウォーカーブラックラベル12年が持つ、樽のスモーキーな感じに合うかなと思いました」(目黒シェフ)
Licaxxx:(一口食べて)わ! すごくおいしい。目黒さんの料理の狙いをダイレクトに感じています。ジョニーハイボールにもすごく合います。
目黒:ありがとうございます。自分が考えたことや意図していることがダイレクトに伝わるのは、素直に嬉しいですね。
濃紺のクロスが張られた円卓は、深緑色の壁を背に独立した世界のよう。落ち着いた照明でまるで深海のような店内にあって、トークはここからさらに深いところへ!
即興の良さ。考え抜かれたものの良さ。
――――先ほど仕込みの話がありましたが、お二人とも表現の手前にある準備は、万全にしていたい方ですか?
Licaxxx:音楽を掘る作業はすごく長いですけど、かける曲とかは基本的に全部現場の瞬間瞬間で考えます。考えないでいったほうが、うまくいくタイプなんです。
――――といいつつ、流石に1曲目とかは考えたりしますか?
Licaxxx:1曲目を考えるのは、フェスのときくらいですかね。普通にクラブでやる場合は、前のDJからの雰囲気とかも重要だし、前から渡されたバトン次第なので。一方でフェスだと、前から繋がないで仕切り直し。自分から再びスタートとなるので、やりたいことを事前に考えておくこともある。ただ最終的にはその場の空気感で決めています。
目黒:瞬間瞬間で感じていることを、すごく大事にしているという感じですか?
Licaxxx:そうかもしれません。普段よりも自分のセンサーが研ぎ澄まされていると思います。道を歩いていて人の表情とか、ぜんぜん見ないんですけど、DJをしている時は、遠くの人の表情がはっきり見えたりするから。たくさん会場にいる中で、特定の誰かに向けてプレイするようなイメージの時もありますね。
目黒:話を聞いていて、僕は無理だなと思いました(笑)。けっこう準備して臨みたい。料理は準備しないで臨むとだいたい失敗する。こうしておけば良かった、というのが多くなるから。もちろん料理人でもいろんなタイプがいて、たとえばお寿司屋さんとか、カウンターを主戦場にする人はアドリブが得意なんだと思うし。
Licaxxx:即興の良さと、作り込まれた良さってまた別の物差しですよね。[abysse]さんはコースでしっかり出すお店じゃないですか。セットリストがしっかりあって、そこのクオリティをどう最大化するか、みたいなことなのかなと。
直感と経験。相反する2つのバランスの取り方。
Licaxxx:どの世界にも通じる話だと思うんですが、目黒さんには「経験値」について聞いてみたいです。全く聞いたことのない音楽を理解するのが難しいように、人って全く食べたことがない味をおいしいと感じるのって難しいじゃないですか? 味覚とは複雑なものを食べることで研ぎ澄まされていくはずで、シェフも一流と呼ばれる人ほど、めちゃめちゃインプットしていると思うんですね。じゃあ様々な味を経験して味覚が洗練されていく中で、実際に料理を作るとなるとどんな風にチューニングしているか気になります。
目黒:やはり多くの食の経験をされている人の方が、「美味しいもの」を理解していると思います。僕も本当に良い素材の味を知るために、一流店へ食べ歩きもしています。でも自分の料理をつくる時に大事にしていることは、今までに経験した味を目指すことではなく、自分自身が美味しいと感じるかどうか。その直感って絶対的に合っているんですよね。一口食べて直感的に良いか悪いか。そこで自分が良いと思ったら大丈夫だと信じる。きっと皆も美味しいと感じてくれるはずだと。
Licaxxx:なるほど。すごく理解できます。一言に集約させると、そこがいわゆるセンスってやつですよね。
目黒:自分の直感を信じたいので、味見は多くても2回しかしない。1回味見をして、ちょっと足して、もう1回。何度も味見をしていると分からなくなっちゃうし。「ここで決めきる」と制限を加えた方が集中できる。
――――DJも料理でいうところの「味見」のような調整をすることってありますか?
Licaxxx:あえて言うなら、DJって元々の曲のテンポを上げたり下げたりして、前の曲と繋いだりしている。でもそのわずかなテンポの上げ下げで、同じ曲でも聞こえ方がぜんぜん変わるんですね。気分で、「今自分がハマっている音」みたいなものに近づけることもあります。
――――なるほど。
Licaxxx:前にかかっていた曲次第でも、音楽の感じ方って全然変わるので、順番とかも含めた細かいところでの微調整はめちゃくちゃしているかもしれません。
目黒:そこは料理でいう塩梅というか、ちょっとした塩加減みたいなことに近いのかもしれませんね。
Licaxxx:人間の感覚ってどうしてもブレますよね。同じ料理でも、同じ音楽でも、その時々で感じ方は違うので。「このタイミングだとテンポが早くないと皆が飽きちゃうな」と思ったらテンポを上げたりするし。感覚的な部分を調整する、歩み寄るのはすごく大事なことな気がします。
目黒:今話を聞いていて思ったのは、 DJの仕事は、お客さんに対して調整を加えるのに対して、僕は素材に対して何かを変えているかもしれないです。前提として素材が毎回違うし個体差があるから。ただもちろんベストなものを届けるために、経験や持っている技術、何よりセンスで調整を加える。そこは高いクリエイティブを実現する上で、音楽も料理も、他のジャンルも関係なく普遍的なことなのかなと思いました。
プライベートで誰かに贈るなら。
――――目の前のお客さんに喜んでもらえるかが肝ですよね。そこへ至るまでのアプローチは違いますが、目指しているポイントはすごく近い気がします。人に何かを伝えたり、贈ったりすることはお二人の生業だなと改めて感じました。
今回は実際に目黒さんからLicaxxxさんにお料理を贈っていただきました。何かを贈ることも多い季節ですが、プライベートなどで食べものや飲みものを贈ったりすることもありますか?
Licaxxx:いろんな場所に行ったときに、お土産にお酒を買ったりすることは結構ありますね。あとはコロナ禍で家で飲むことも増えたので、ワインをボトルで買って家で…みたいなことはやるようになりました。
目黒:ワインと違って、開けてからも長く置いておけるという点ではウイスキーもすごくいいと思います。贈ってくれた人の顔や思い出が、お酒を飲むことで浮かんでくるのもいいですし。
Licaxxx:ソーダで割ったり、量を自分で調整できるから、飲み方の自由度も高いですよね。ウイスキーもらったら確かに嬉しい。
目黒:室温で置いておいても大丈夫なのもいい。僕はお酒そんなに強くないので、量は飲めないんですけど。部屋にグラスを置いて、ウイスキー飲みながら映画観たり。
Licaxxx:冬に家で映画観ながらウイスキーも、めちゃくちゃいいですね。
目黒:より映画も楽しめそうだし、雰囲気もいい感じになりそう。ジョニーウォーカーのウイスキー、贈り物としてすごく良いと思うな。
Licaxxx:いろんな場面で飲めるのも良いですよね。今日いただいたような特別なお料理にも合うし、家庭料理はもちろん、サンドイッチとかスナックみたいな気軽なものでも合いますもんね。誰かに贈ってみるのもいいかも。
マスターブレンダーからマスターブレンダーへ。6世代へと渡り受け継がれてきた門外不出のブレンディング技術で、スコットランドで丹念につくられた「ジョニーウォーカーブラックラベル12年」。
通常ボトルに加えて、この冬、ギフト仕様の数量限定品が続々発売予定。ホームパーティの手土産や、お世話になっている人や大切な人へのギフトとしてジョニーウォーカーのウイスキーを贈ってみるのはいかがだろうか。
現在発売中のギフトボックスは2種類。「ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年 700ml ギフトボックス 21秋」(写真左)は、ボトル(700ml)と別にミニブランドブック1冊、ハイボールグラス(容量:約370ml)も付いてくる。15年以上熟成したモルト原酒のみで構成された贅沢なウイスキー、「ジョニーウォーカー グリーンラベル 15年 700ml ギフトボックス 21秋」(写真右)はロックグラス(容量:約240ml)2個付きで、二人でお酒を楽しむのもいい。どちらも誰かに贈るのに相応しい付加価値が満載だ。
こちらのスペシャルパッケージは、12月14日(火)に発売予定。ジョニーウォーカー ブラックラベル12年 2021年限定デザイン 700ml(写真左)と、ジョニーウォーカー レッドラベル 2021年限定デザイン 700ml(写真右)は見た目にもスタイリッシュで、住空間に華やかな彩りを加えてくれそう。非常にデザイン性の高いボトルに仕上がっている。
abysse
東京都渋谷区恵比寿西1丁目30−12 ebisu-hills 1F
Tel 03-6804-3846
Dinner:18:00-20:30(L.O)
Lunch:12:00-13:00(L.O)
ランチは土・日・祝のみ
水定休CREDIT
Styling:Ai Suganuma(TRON)
Photography: Masayuki Shimizu
Edit and Text : Shunpei Narita