エディターズノート
「RiCE」第23号「カレー」特集に寄せて
RiCEの通算第23号の特集はカレーです。今年より隔月刊化しての第3弾。なのにいまさら「新創刊」と表紙に謳っていることに疑問を感じた方もいるかと思います。出版の専門的な話になって恐縮ですが、これまで書籍扱いだったのが今回より雑誌コードに変わったんです。だから、オフィシャルに創刊という言葉が使えるのは後にも先にも今回のみ。しかも販路がぐっと広がり、初めて手に取ってくださる方もきっと多いはず。改めてよろしくお願いしますの気持ちを込めての新創刊なのです。お馴染みの皆様にはいつもありがとうございます。初めましての方は以後お見知りおきを。
というわけで、昨年春もそうでしたが、実に4度目のカレー特集になります。もうこうなったら毎年の恒例企画と思ってもらって構いません。肌が汗ばむ季節になったら今年もカレーのRiCEが読めるんだなと。なんといってもRiCEですから、カレーと合わないわけがない。
今秋の特集のタイトルは「スパイスの旅、カレーの謎」。二段構えになっていますが、重なる部分が大きいと思っています。まだ、海外へ気軽に旅行できる状況ではないですが、カレーは異国を感じる格好のツールにもなり得ます。国内にいくつもあるアジア人街に出かけるもよし。無限に組み合わせのあるスパイスを感じて遠くへ飛ばされるもよし。そしてスパイスのことを考えれば考えるほど、カレーの謎はより深まっていきます。
なぜこんなにも日本人に愛されているのか? カレーの定義は? 一体どれくらいの種類とバリエーションがあるのだろう? スパイスの旅を通してカレーの謎を追い求め、謎を解明するプロセスがスパイスの旅となる。まるで無限ループのようですが、そう簡単に答えが出ないところに尽きない魅力があるのでしょう。
カレーにはマニアが沢山います。コミュニティと相性が良く、みんな自由で、クリエイティブで、ピースな人たち。そんな彼らによって支えられ、数年来のスパイスカレーブームは高止まりのまま、しっかり根付きつつさらに広がっている感じがします。もはや一過性のムーブメントではなく、日本のフードカルチャーを支える礎ともなっているのではないか、そんな風にさえ思います。
フードカルチャーマガジンたるRiCEは、そんなカレーのシーンをウォッチし続けてきましたし、今後も追いかけるつもりです。そしてカレー好きな人が毎日カレーでも飽きないように、カレーの特集は何度作っても一向に飽きません。ますますのめり込むように楽しさが増していくから不思議。食べる人も、作る人も、おそらくカレーの魅力にハマって抜けられない。だったらとことん先へ進みませんか。終わらない旅を続けるように。そしてきっとカレーは平和を導いてくれる。そんなパワーがあると信じています。
- RiCE.press Editor in Chief
稲田 浩 / Hiroshi Inada
「RiCE」「RiCE.press」編集長。ライスプレス代表。
ロッキング・オンでの勤続10年を経て、2004年ファッションカルチャー誌「EYESCREAM」を創刊。2016年4月、12周年記念号をもって「EYESCREAM」編集長を退任、ライスプレス株式会社を設立。同年10月にフードカルチャー誌「RiCE」を創刊。2018年1月よりウェブメディア「RiCE.press」をロンチ。
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