ラブ&チーズ
真っ白いそれ
チーズとの出会い
ピッツァの修行時代、チーズのカットをよくやらせてもらっていた。毎日のまかないはピッツァ。
当時の日記を見返すと
美味しい!! (真っ白いそれは) 400度近くの窯でピッツァにのせて焼き上げるとオリーブオイルと乳化し絡み合う。熱々の状態で伸びて、溶けているのにミルク感が残り、トマトソースの酸味と合わさって……どうやって作るのか見に行こう!
ナポリから電車で1時間半ほどのPaestum (パエストゥム) という町。世界遺産もあるのだが、そこにはいくつかの工房がある。Campi Flegrei (フレグレイ平野) と呼ばれるその地域は肥沃な土壌で水牛が生育するには最適の場所だとのこと。その後何度か訪れているが、各駅でしか止まらなく通りすぎてしまったり、何故だかドアも開かず出られなかったりしたことがある。なんだかこんな経験も含めてイタリアだ。
▲ パエストゥムにて水牛
工房では突然訪れたにも関わらず、僕を招き入れてくれた。
大きなたらいと長い棒で熱湯を注ぎチーズを練るマエストロ。毛むくじゃらで大柄な男たちが熱々のチーズを2人がかりでちぎって冷水へ。水に入れたそのチーズは真ん丸で真っ白い。「食べろ」と出来たてのそれを僕に手渡してくれたマエストロ。齧ると口の中はミルクで溢れ、独特なミルク臭が鼻にも広がる。
▲ 2人がかりでモッツァーレを行う。
※ (「モッツァーレ」はモッツァレラの語源でイタリア語 引きちぎるの意 )
これがフレッシュなチーズなんだ、チーズってミルクから作るんだ、と当たり前のことを思い知らされた。
これが、僕が出来たてのチーズを作りたいと思ったきっかけだった。
(つづく)
CHEESE STANDからのおすすめ
ホエイドリンク
▲ チーズを作る際にできるホエイ。 季節のフルーツやリキュールと合わせています
SHIBUYA CHEESE STAND
住所: 東京都渋谷区神山町5-8 1F
時間: 11:30〜23:00 ( L.O.22:00 )、11:30〜20:00 ( 日曜 )
定休日: 月曜日・年末年始 ( ただし月曜日が祝日の場合翌平日休み )
http://cheese-stand.com
- CHEESE STAND Owner / Cheese Craftsman
藤川 真至 / Shinji Fujikawa
1981年生。大阪外国語大学(現大阪大学)イタリア語学科卒業。バックパッカー中にナポリピッツァに出会い現地にて修行。同時に出来たてのチーズの美味しさに目覚める。北イタリアのチーズ工房にて住み込みでチーズ作りの基礎を学ぶ。卒業論文は「イタリアの水牛モッツァレラ」。2012年6月「街に出来たてのチーズ」をコンセプトに「SHIBUYA CHEESE STAND」オープン。国内外のコンクールにおいて様々な賞を受賞。チーズをより身近にするためにセミナーの開催や絵本、オウンドメディアを手がける。
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