“日本一小さい植物園”が「農と食」をテーマに生まれ変わる
渋谷区ふれあい植物センターがリニューアルオープン
「農と食の地域拠点」をコンセプトに“食べられる植物園”に
2021年末に惜しまれつつもリニューアルの為に休園していた[渋谷区ふれあい植物センター]が、2023年7月29日にリニューアルオープンした。
以前までの「渋谷の庭」というコンセプトから「農と食の地域拠点」へとアップデート、園内全ての植物を入れ替えた。そんな新生[渋谷区ふれあい植物センター]を園長・小倉崇さんに案内していただいた。
園長の小倉崇さん。大きな採光部から陽の光が降り注ぐ空間は植物にはもちろん、人にも気持ちいい
食べられる植物園とは?
園内にはさくらんぼ、マンゴー、ドラゴンフルーツ、コーヒーなど数多くの果物が栽培されている。
新設された「Farm Lab」では葉野菜が育てられており、調光によって野菜の栄養価を変えることもできるそう。これから研究を重ね、マイクロハーブなどの栽培にも挑戦していきたいとのこと。収穫された果物や野菜は併設しているカフェやショップで販売予定。
植物を五感で体験する
今回のリニューアルでは、植物を観る、触るだけではなく、聴いて、味わい、五感をフルに使って植物を堪能できるようになった。
1階の中央部分には小部屋が。大人は身を屈めてギリギリ入れるほど小さな入口をくぐると、中では「果物が奏でる音楽」が流れ、ちょっとしたヒーリングスポットになりそうだ。
「植物も生きている」ということを伝える為、園内で栽培されているココヤシ、サンジャクバナナ、マンゴーの生体電位を計測し、それを音階に変換することで、“果物が奏でる音楽”を実現。聴覚を通して自然に癒されるとはこういうこと、と納得できる魅力的なスポットだ。季節によって“演奏”する果物も変わり、季節ごとの果物を五感で体験できるというから面白い。
味覚を通して植物を知る
開放的な階段を登り、2階へ。カフェと展示スペースが設けられ、カフェではドリンクのみならず、スペルト小麦100%で作られたグルテンフリーのクリスピーなピザが提供されている。ケールやビーツといった野菜ペーストのソースがサクサク食感の生地とマッチ。カフェから1階の植物を眺めながら、ゆっくりと時間を過ごすのに最適だ。
ケールやビーツといった野菜ペーストをソースにしたオリジナルピザ。フードメニューは今後さらに拡充する予定
同じく2階の書籍棚には現在『牧野富太郎と渋谷の植物展』と題して、植物学者・牧野富太郎博士が実際に渋谷で採取し、作った実物標本や写真家・菅原一剛さんによって撮り下ろされた標本の写真などが展示されている。
『牧野富太郎と渋谷の植物展』の会期は8/31まで
イベントルームにギャラリー、渋谷発を生み出す
植物園でありながら、発信する場も設けられている。
2階にはキッチンスペースがありワークショップなどに活用できそう。3階にはイベントルームが設けられ、植物をバックに開放的な空間が広がる。ワークショップや映画の上映会として今後使用される予定だ。
さらに4階の屋上ではホップと日本茶を育て、渋谷発のビールとお茶作りを目指している。渋谷ビール、渋谷茶が飲める日もそう遠く無いかもしれない。
4階屋上で育てられているホップ。大きく育ち、渋谷ビールになるのが待ち遠しい
オリジナルグッズの販売も
入口すぐのボタニカルスタンドでは、ハーブティやコーヒーが楽しめる他、同園のロゴがプリントされたキャップやTシャツなど、オリジナルグッズも販売している。また、育て、食べた先に必ず出てしまうゴミにも焦点を当て、生ゴミを堆肥にするコンポストも導入し、最後の最後まで農と食に向き合っている。
賑やかな渋谷も良いけれど、自然と触れ合ってみると少し違った気づきがあるかもしれない。渋谷でばりばり働いたり遊んだりしていても、一息つきたくなる時はある。そんな時は都会の真ん中で植物に囲まれ、味わい、癒されるのも良いかもしれない。今後は夜営業も予定しているそうで、更に期待が高まる。
植物と食。切っても切り離せない関係性を体感できるこの空間に、是非足を運んでみてはいかがだろう。
渋谷区ふれあい植物センター
〒150-0011 東京都渋谷区東2-25-37
03-5468-1384
10:00~18:00(入場は17:30まで)
月曜日休園(祝日または振替休日の場合は翌平日)
入園料 1回100円、年間パスポート(1年間有効) 1,000円
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