マイ・パスタ・キッチン 〜あのパスタが作りたい!〜

クオーレ・フォルテの「レモンのパスタ」


RiCE.pressRiCE.press  / Oct 31, 2024

突然ですが、RiCE.press編集部はパスタが好きです。

お昼にも夜にも、外食でメニューにあればついつい頼みがちです。
シンプルに美味しいので。

自分で作るのも好きです。麺を茹でている間にソースや具材の調理が並行して進められるのが気持ちいいし、食材の選択肢も多く、一皿で栄養もしっかり摂れる。

だから、美味しいパスタをお店で食べると「どうやって作ってるんだろうなぁ」と気になってしまいます。パスタは基本シンプルに見えるから、真似できそうと思ってしまいながらも、簡単にはいかないからお店はやはりすごい。YouTubeで惜しげもなくレシピ・作り方が公開されている今日この頃ですが(それも参考にしています)、自分の好きなお店にパスタの作り方を直接習いに行きたい!
そんな思いで、新企画「マイ・パスタ・キッチン」をはじめます。

第一回は、下北沢の名店[クオーレ・フォルテ]のあの定番パスタ

[クオーレ・フォルテ]は、ワイン好きには有名なお店だ。

下北沢の一番街商店街で、2010年から14年。オーナーの羽賀大輔さんは、一般企業を経由して六本木のクラブ勤務で接客サービスの楽しさに目覚め、伝説的イタリアンの呼び声高い青山の[フェリチタ](現[HIBANA]の永島あつしさんが支配人を務めたお店)などで経験を積み、独立したという異色の経歴の持ち主。学生時代には代官山[キアッケレ]で働いたことも伏線だった。

今回のマイ・パスタ先生、羽賀大輔さん。趣味はサーフィン。大好きな山下達郎の曲も、お店が盛り上がるとかけてくれる

羽賀さんはサービスの人で、料理人あがりというわけではない。しかし、[クオーレ・フォルテ]のフードメニューはすべて羽賀さんが手がけている。

「キアッケレではサービスだったんですけど、アイドルタイムは若手が仕込みをするのでそれで厨房に入ったり、次のお店でキッチンをやらせてもらったり。その後、ちゃんと料理の勉強をしたくてキアッケレのシェフをしていた先輩が北海道で開いたお店に住み込みで修行させてもらいました。“見て盗め”というタイプで習いました。その後、イタリアのワイン生産者のところを回るようになって、イタリア料理を再認識させてもらいました」

そんな羽賀さんの料理は、本場イタリアの気風のよさを感じさせるものばかり。イタリアに行ったことがない自分なんかは、クオーレで料理を食べてワインを飲むと、シチリアへの憧憬が急上昇する。

[クオーレ・フォルテ]のパスタメニューの一番上に書かれているのは「レモンのパスタ」。これもシチリアの生産者を訪れた際に振る舞われたパスタの一つなのだそう。現地ではクリームソースだったりガーリックが入ったりと家庭ごとにバリエーションがあるというが、羽賀さんのは、もちもちの太麺にチーズと胡椒の香りがきいていて、コクのあるレモンソースが絡んだレモンパスタ。

さて、前置きが長くなったが、いよいよ「レモンのパスタ」の作り方を教えてもらおう。

<材料 1皿分>

【パスタ】大鍋で茹でる
・スパゲットーニ 120g
*茹でる水は鍋一杯に、塩は1%ほど入れる

【ソース・トッピング】ステンレスフライパンで調理
・水 100cc
・バター 30g
・レモン 1/2個
・パルミジャーノチーズ 約15g
・ローズマリー 1本
・塩 味の調整に少々
・白胡椒 仕上げにお好みの量

材料はとてもシンプル。レモンにバターとチーズがベース。香りにローズマリー、白胡椒を使うという感じ。それでは、調理工程を見ていこう。

フライパンにバターと水と塩を少々入れて火にかける。中火〜強火くらいでバターを溶かし沸かしていく。

レモンの皮をグレーターで削り入れる。フライパンの中身がなじんできたら火を止めてレモン汁を絞る。半分のレモンにフォークを差すと絞りやすい(し、かっこいい)。

あとはパスタの茹で上がりを待つ。

羽賀さんが使うパスタは「パスティフィーチョ・ヴィチドーミニ」のスパッゲトーニ(太さ約2mm)。プーリア州アルタムーラ産無農薬有機栽培のデュラム・セモリナ小麦100%。ブロンズ・ダイスで型成されたパスタの表面はザラザラしているクラシックスタイル。

ふつうのパスタよりかなり長いので、折ってから茹でる。目黒区駒場にあるイタリア食材店[ピアッティ]の他、楽天でも見つけられそう

このスパゲットーニの茹で時間表示は18分だが、5分長い23分でタイマーをセットしていた。オーバーボイルできるのも太いパスタの特徴とのこと。家では1.6mmのスパゲッティを使うことがほとんどなので、短めに茹でることはあっても5分も長く茹でることはない。数ミリに違いなのに面白い。

茹で加減を見極める

茹で上がったパスタのお湯を切って、フライパンのソースと合わせる。中火で熱をキープしながらレモンバターソースをよく吸わせる感覚で混ぜる。太麺はこうやってフライパンの中でソースとじっくり合わせるのにも向いているとのこと。

ローズマリーを1本、手のひらの上でぱちんと叩き香りを出してフライパンへ。塩気と水分量を見ながら、必要なら茹で汁を少しずつ足す。

最後に、火を止めてチーズを入れる。

最終の濃度感はこんな感じ。お皿の底に薄く残るくらい。この塩梅はトライ&エラーが必要そうだ。

仕上げに塩胡椒をふりかける。黒胡椒でも美味しいけれど、このレモンパスタには白胡椒が一択!と首を振りたくなるくらい合う。

というわけで完成!

[クオーレ・フォルテ]羽賀さんに教えてもらった「レモンのパスタ」。もちもちっと噛み締めるのが気持ちいいスパゲットーニは、白胡椒とローズマリーのぴりっとした香りをまとい、ぜいたくな気分になるちょうどいい濃さのチーズにレモン&バターの風味が絶好のマッチ。具材のないシンプルな見た目の一皿なのに気持ちを満たしてくれる。

ぜひ白ワインを合わせてもらいたいと、喉から言葉が出かかったけれど我慢。実はもう一品教えていただく予定なのだ。

次回は「カラスミのパスタ」を、お楽しみに。

クオーレ・フォルテ|Cuore Forte
東京都世田谷区北沢3-20-2 大成ビル1階(Google Maps
17:00〜24:00(23:30 LO)
火曜定休
Tel 03-6796-3241
IG @cuorefegatoforte

Photo & Movie by Daikichi Kawazumi(写真・映像 河澄大吉) IG @daikichi_kawazumi
Text & Edit by Yoshiki Tatezaki(編集・文 舘﨑芳貴)

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