おいしい裏話
「はやり」(RiCE No.16)に寄せて
韓国ではひとつ人気店ができるとすぐに周りに類似の店ができる。 そしてそこがひとつの名物タウンになっていく。 しかしやっぱりどうしても、ほんとうにおいしかったり、手間がかかっていたり、献身的な店員がいたりするところが長く残り、軒並みつぶれてしまうことが多い。 先日仕事でソウルに行ったとき、映画のプロデューサーたちが連れていってくれたのは、地元の人たちが行く24時間営業のソルロンタンの店だった。たしかにおいしかったし、観光客用の店よりも安い。しかし私がいちばんびっくりしたのは、そのときすでに夜中の12時くらいだったのに、店に併設されている肉屋さんがバリバリに営業していたことである。 日本だったらものすごく高いであろう部位も、むちむちのキラキラでブロックで売られている。ケースの中は新鮮な肉やもつでいっぱい。みんなが買って帰っている。これはみんな元気なはずだよなあと思う。
プロカンジャンケジャン 赤坂店 東京都港区赤坂3丁目11−7 ソシアル赤坂ビル2F (月~金) 11:30~14:30 17:00~22:00 (土・日・祝) 11:30~22:00 Instagram:@prosoycrab.akasaka
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、2022年8月『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数。近著に『下町サイキック』がある。