カレー細胞 松宏彰による「ジャパニーズカレーフェスティバル2022の見どころ」
その1🍛『世界一のカレー国、ニッポン』
カレー細胞こと松宏彰です。
このたび私がプロデュースする『ジャパニーズカレーフェスティバル2022 in渋谷』の開催が決定しました。第二回となる今年は8/11〜31の3週間の開催です。会期中は渋谷のあちこちで全国からやってきたカレー名店が特別出店したり、さまざまなカレーイベントが行われたり、渋谷のカレー店たちが期間限定メニューを出したりと、渋谷の街がカレー色に染まります。
今回の短期連載では、『ジャパニーズカレーフェスティバル2022』にやってくるカレー店の魅力や、会期中の見どころを熱くスパイシーに伝えていきたいと思います。
最初に、そもそも私が何故ジャパニーズカレーフェスティバルを開催したいと思ったのか?そのきっかけをお話ししたいと思います。
最初にこの企画が生まれたのは2019年でした。翌年へと迫った東京オリンピックに向け、COOLなJAPANを世界に発信しようという気運がピークを見せていた頃です。キモノに歌舞伎に工芸品にゲームにアニメに寿司にラーメンに・・・あれ?ちょっと待ってください!カレーがまったく無いじゃありませんか。
『カレーはラーメンと並ぶ2大国民食』とあちこちで散々言っておきながら、『世界に誇る日本文化』という文脈になったとたん、カレーは何故か外されてしまうんですよね。じゃあ、日本のカレーは海外で全く受けないのか?といえば答えはNO。それどころか、世界各地で注目されている訳です。
英国ではKATSU CURRY(チキンカツカレーです)が大ブレイクし、英国の国民食といわれるほどの人気を博していますし、アジア各地でも日式咖哩飯は注目の飲食ビジネスとなりつつあります。
(筆者がサンチアゴで食べた「KATSU CURRY」12500ペソ=約2000円。奥に置いたiPhoneからその巨大さを想像して欲しい)
なのになぜ、肝心の日本から海外へ日本の多様なカレー文化がまとめて発信されないのでしょう?
このことを何人かと話したところ「だってカレーの本場はインドでしょ」という反応があったのです。なるほど確かに、日本人はそう思っている節がある。「ラーメンの本場は中国」とは言わないのにね。確かに、日本のカレーのルーツを紐解けば、源流はインドやスリランカへとたどり着きます。
けれどもそれはあくまでもルーツ。今の日本のカレーライスは確固たる日本食であり、海外でもJAPANESE FOODであると認識されているのが事実です。しかも今の日本のカレー文化は実に多彩。
インドやスリランカ、タイ、中華だけでなく、和出汁文化やフレンチ、イタリアンとも融合し、その表現もドライカレー、スープカレー、あいがけカレーからカレーうどんやカレーパンまで実に多彩。「カレー」という食ジャンルの多様性において日本は、断然世界一と言って間違いないでしょう。(ちなみにインドでは大多数の料理にスパイスを用いますが、それをカレーと認識している訳ではありません)
東京オリンピックで世界が日本に注目するこの機会に、多彩な日本のカレー文化をまとめて発信したい。発信場所はやはり、日本文化のアイコン的な街・渋谷がふさわしい!・・・ところがその直後のコロナでオリンピックの延期、そして外食の制限、イベントの自粛。カレーフェスどころではない状況となりました。
「流石にしょうがないよね・・・」
そう思ったのも束の間。先行き見えないコロナ禍における飲食打撃の中、「カレー」という食べ物は、その真の能力を発揮しはじめたのです。
夜営業の制限、酒類提供の規制の中、余った食材を翌日のランチ時にカレー弁当として提供する居酒屋が増えてきました。休業中、間借りカレーの場所提供をする飲み屋も増えてきました。リモート推進によるフードデリバリーの活発化の中、デリバリーに適したカレーはまずます人気になってきました。冷凍技術が進み、冷凍宅配、ECを始めるカレー屋さんが増えてきたことで、都市部と地方との地域格差が減少してきました。
カレーが持つ、あらゆる食材を取り入れることができフードロスが少ない特性、異なる文化や食ジャンルをクロスオーバーできる特性。テイクアウトやデリバリー、冷凍にも適した特性。コロナ禍において飲食が生き残るための「食のオルタナティブ」として、カレーの存在感は逆に増すことになったのです。
(盛り付けた状態で急速冷凍、そのままレンチンでいただける福岡カレードットコムは冷凍カレーの最先端だ)
そうして2021年10月、第一回ジャパニーズカレーフェスティバルin渋谷はついに開催。北は北海道、南は大分まで、参加カレー店舗は25店舗。ジャンルも欧風カレーからスープカレー、大阪スパイスカレーにインドカレー、スリランカカレーと多彩なラインナップが揃いました。
第二回となる今回は外食カレーだけでなく、給食カレー、冷凍カレー、レトルトカレーにも注目。カレーと音楽の関係や、カレーと街づくりの関係など、日本の多彩なカレー文化をさまざまな角度から掘り下げてゆきます。
この短期連載でもフェスの見どころを随時紹介していきますので、どうぞお楽しみに。
ジャパニーズカレーフェスティバル公式サイト
https://japanese-curry-festival.com/jcf2022/ジャパニーズカレーフェスティバル公式SNS
https://twitter.com/JCF_shibuyaカレー細胞公式SNS
https://twitter.com/hm_currycell
https://www.instagram.com/h.m.currycell/
- カレーキュレーター
松 宏彰(カレー細胞) / Hiroaki Matsu
あらゆるカレーと変な生き物の追求。 生まれついてのスパイスレーダーで日本全国・そして海外あわせ4000軒以上のカレー屋を渡り歩く。 カレーイベント主催、雑誌のカレー特集執筆、TV出演も多数。 本業は映像クリエイター。
- TAGS