この酒いいよ、飲んでみて。
実はこんなに幅広い日本酒の味わい②
暑い夏に向けておすすめの日本酒
前回、日本酒のタイプを3タイプに分け、その中からスッキリ系のアイテムをご紹介しました。今回は「フルーティー系」のカテゴリーからのおすすめです。単にフルーティー系といっても香り成分も多種多様に存在します。バナナっぽい、マスカットっぽい、パイナップルっぽい、メロンっぽい、デリシャスリンゴっぽい……
果物に例えただけでも色々ありますし、花の様な香りも多種存在します。ここではその香りの系統によるおすすめではなく、ざっくりと「香りがあり……」と捉えてセレクトします。
フルーティーでスッキリした喉ごし。
フルーティーでフレッシュなガス感や酸がある喉ごし。
フルーティーでそれに伴う甘さが広がる喉ごし。
この3様に分けてその中からおすすめしたいと思います。今回はこれから暑い夏に向けてのお酒としてフルーティーでフレッシュなガス感や酸がある喉ごしからセレクトいたしました。
多賀治 (takaji) 純米雄町無濾過生原酒限定直汲み
(岡山県倉敷市・十八盛酒造株式会社)
まずこちらのお酒はキャップの留め金を切ってキャップを開けると「パスンッ」という勢いで開きます。ということは瓶の中にガスが充満してますので購入したらすぐに開栓しないで冷蔵庫で1日程寝かせてから開栓してください。
こちらのお酒はグラスに注ぐとほんのりとメロンの様な上立ち香があり、口に含むとジューシーな酸がマスカットを思わせる甘味と香りとが共に口内いっぱいに広がります。こういうタイプのお酒によくあるのがそのまま酸が上顎の方へ昇って散っていくイメージですがこちらのお酒は下顎の奥歯近辺の所に酸が一旦集約してジュワッと消えていきます。お酒単体でも十分に美味しく召し上がれます。
合わせるオツマミは、白身魚のポワレ、オリーブオイルベース、トマトソースベース、バターベースの料理やハーブを多量に使用した料理、白身魚及び甲殻類のフライ等にも合わせやすいでしょう。口の中に残った料理の青々しい香りの余韻をゆっくりと保ちつつ、頬っぺの内側についた余分な油分・脂分をきれいに洗い流し喉元へ流しこんでくれます。脂分の甘さとこのお酒の柔らかな甘さが調和してなんとも心地よい口福感を体感できます。
あぁ……今日も盃がとまらない……
animism bar 鎮守の森
住所: 東京都新宿区四谷3-11 第二光明堂 B1F
時間: 18:00〜22:30 (月〜金 )、15:00〜20:00 ( 土・祝 )
電話:050-3630-3175
完全予約制
定休日: 日曜日
- polyphony owner
竹口 敏樹 / Toshiki Takeguchi
映像カメラマンだった20代の頃、偶然立ち寄った酒場で日本酒のおいしさに開眼。独学で日本酒を学び、居酒屋勤務を経て東京・四谷に[酒徒庵]を開店。2015年に[酒徒庵]を閉店し、会員制の日本酒専門店[鎮守の森]をオープン。2021年には、サービスの朝日萌里さんとともに、自らが厨房に立ちラクト・オボ・ベジタブルのコース料理を提供する[polyphony]をオープン。著書に『もっと好きになる 日本酒選びの教科書』(ナツメ社刊)がある。
IG @polyphony2021
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