料理人・波平龍一の「半年間、蔵人生活」 -1-
飲んで、食べて、考えたい。
初めまして、波平龍一と申します。
日本料理、和食の料理人として働き始めてもうじき8年になります。
縁あってこれから6ヶ月ほど、RiCE PEOPLEの一人として文章を書かせてもらうことになりました。
これまでSNS等で好き勝手に文字を打ち込むような機会はあったんですが、今回のような形式での寄稿ははじめて。
ということで自分としてはほんのりと緊張感を伴った滑り出しになっていますが、回を重ねる中で程よい力加減を探りながら、ゆるゆるやっていければいいなと思ってます。
東京と京都にて、料理人として過ごして7年半ほど。
フリーで活動してきた半年間を挟みまして、僕は11月から岡山県の真庭市勝山にいます。
連載のタイトルにある通り、この土地で半年間蔵人として生活をするためです。お世話になる蔵元さんは[御前酒蔵元辻本店]さん。来年で創業220年を迎える歴史ある日本酒蔵です。
勝山が誇る「御前酒」の蔵に入り、ここでの体験を基点にこの町と、さらには真庭市という地域にどっぷりと浸かり、飲んで、食べて、大いに考えたいと思っています。個人的な考えの変遷をなるだけありのままに、それぞれの体験から受け取った熱が自分の中で冷めないうちに。言葉に変換し皆さんにお伝えしていきます。
半年という期間を設定したのは、これまで自分が繰り返してきた単発の現場視察に対してある時期から一種の「浅さ」のようなものを感じはじめていたからです。今回はそこからもう一歩踏み込んで、辻本店さんのみならずその周辺を取り巻く要素に可能な限り全て体当たりします。興味の赴くままに、考えすぎず、しかしできうる限り真剣に向き合うということを信条に攻め切る所存です。
年明けあたりからは蔵仕事もいよいよ忙しくなり、多少消耗するかもしれませんが、それもまた一歩踏み込んだからこそ得られるリアルな経験になるのではという期待感があります。しかしながら、極限の肉体労働に自分の体がどこまで耐えられるのかという不安感も同じくらい抱えている…というのが正直なところです笑
まだ30歳、とはいえいわゆる大台に乗った初年度になかなかチャレンジングなことをするもんだなあとは思うのですが、岡山には温泉郷も多くあるとのことなので万が一の時は休日に湯治に出かければなんとかなる、と信じています。
これから6ヶ月のあいだ岡山で過ごす中で生まれてくるであろう自分が、まだ出会ったことのない初めての感情や感覚をこの連載を通して皆さんと共有できれば嬉しく思います。
次回は蔵人生活スタート1ヶ月目のフレッシュな感想も交えてお伝えさせてもらいます。
それでは皆様、これからお付き合いのほどどうぞよろしくお願いいたします!!
(Edit by Shunpei Narita)
- 暮らしの料理 調理担当
波平 龍一 / Ryuichi Namihira
1993年、神奈川県出身。大学卒業後、東京の懐石料理店にて料理人としてのキャリアをスタート。その後、京都に拠点を移し、中東篤志氏に師事。現在は、東京あきる野にて自然農に取り組んでいる、妻の波平雪乃と共に[暮らしの料理]の屋号で晩御飯企画を主宰。 その他イベントへの参加や商品開発を中心にフリーで活動中。
IG @namihei_kome