中目黒[焼鶏あきら]で、料理と楽しめるシングルモルト「ザ シングルトン」を知る
鶏七輪焼とウイスキーペアリングの新しい提案
繊細かつ大胆な炭火焼で多彩な部位を味わえる[焼鶏あきら]
ウイスキー、それも蒸溜所の個性が強く出がちなシングルモルトを料理に合わせる——これまであまりされてこなかったウイスキーペアリングを提案するのは、東京・中目黒[焼鶏あきら ]である。
合わせるウイスキーは、スコットランドのスペイサイド地区中心部・ダフタウン蒸溜所が手掛ける「ザ シングルトン ダフタウン12年」。伝統的な製法で造られ、なめらかでスムース、食事を引き立てる芳醇なフレーバーが持ち味のシングルモルトである。
[焼鶏あきら]があるのは、桜並木の緑が眩しい目黒川沿い。店内にいながら、大きな窓からは春は満開の桜、夏には樹々の木漏れ日、秋には紅葉といった四季の風景を眺めることができる。
木材を多用した古民家のような雰囲気が漂う。テーブル席にカウンター席、大きな窓に面した座敷席。さらに中二階にも席がある。
京都の川床を思わせる風情ある造りでいて、店は連夜、賑やかな活気に包まれる。串に刺して提供されるのではなく、七輪の炭火で自分で焼くスタイルの“焼鶏”がラフさを生むのだろうか。
火持ちのいい備長炭を用い、七輪で焼く“セルフ焼鶏”スタイル。甘だれ、辛だれ、自家製のポン酢、長崎と沖縄の2種をブレンドした塩、醤油のほか、柚子胡椒やニンニク、柚子七味などの薬味を用意。
看板料理の鶏七輪焼には宮崎県や鹿児島県の種鶏どりを用い、鶏カルビ、鶏ムネ、せせり、つくね、鶏アキレス、ソリレス……と細かく分けられた多彩な部位は12種類にも及ぶ。
店長の大川誠太さんは言う。「種鶏どりとは親鳥のことで、肉の味が濃く、地鶏のような弾力のある食感です。噛めば噛むほど旨味が感じられるんです。そのおいしさをシンプルに味わっていただけるよう、炭火焼というスタイルにたどり着きました。料理のコンセプトは“繊細かつ大胆”。部位ごとに食感や味わいの違いがあり、飽きずに食べ進めていただけます」
種鶏どりを使う鶏七輪焼の鶏野菜ミックス盛り合わせ1人前2300円(写真は2人前)。6種類の部位と新鮮な野菜3種が木箱に入って供される。日毎に内容が異なり、この日は鶏カルビ、こころ、せせり、ぼんじり、三角軟骨、つくね。
[焼鶏あきら 中目黒店]店長の大川誠太さん。中目黒で生まれ育ち、焼鳥の世界に入って14年。11年前より現店舗へ。店の運営とサービス、調理のすべてを担当する。
炭の香りをまとった焼鶏とハイボールの甘みが心地よく相乗
「『ザ シングルトン』は間違いなくうちの料理と合うなと感じました」
大川さんは、初めてテイスティングした時の印象をそう振り返る。理由は、七輪焼によって素材が必然的にまとう炭の香りにある。
「『ザ シングルトン』はストレートで飲んでみると、まずなめらかな甘みが広がり、ハーブのようなニュアンス、ナッツのような香ばしさとオイリーさを感じました。多くのシングルモルトに感じるような癖の強さがなく、すごく飲みやすい印象です。ハイボールにすると、香りが立って味にまるみが出てきて、さらに甘さが立ちますね。ホットウイスキーは強いアルコール感がなく柔らかい飲み口。オレンジやレモンなど柑橘との相性のよさがイメージできました。これらの要素から炭の香りとの相性のよさを直感的に感じました。実際に合わせてみるといい意味で料理の邪魔をせず、七輪焼はもとより当店の九州料理ともすごくよく合います」
香ばしさに加え、甘みと爽快感を生むハイボール。大川さんが特に相性がいいと感じた部位はぼんじりである。
「脂が多いのでレモンをぎゅっと搾りかけることをお薦めしています。レモンの香りと酸味、脂の旨味、そしてハイボールの甘味が抜群に相乗します」
とは言いながら、こりこりした食感の三角軟骨(胸肉の軟骨)にサクッと歯切れのいいこころ(心臓)、甘辛いたれと半熟卵を付ける濃厚な旨味のつくねとの相性も捨てがたい。あれこれを食べ進めながら、思わず杯が進んでしまう。
「鍵になるのはやっぱり炭の香りです。山芋やオクラといった野菜と合わせるのもいいですよ。甘辛いたれや辛みの効いたたれも用意していますが、ここはシンプルにブレンド塩や七味唐辛子、自家製のポン酢などで味わっていただくとお互いが引き立ちます」
店ではハイボールに限らず、ロックやお湯割り、ストレートでも提供している。飲み方を変えて、異なるアロマと味わいを体感しながら合わせれば、ウイスキーペアリングの新境地が開くに違いない。
焼鶏あきら 中目黒本店
東京都目黒区中目黒1-10-23 リバーサイドテラス106
営業日 16:00~23:00(22:00LO)
Tel 03-3793-0051
IG @yakitori_akira
「ザ シングルトン」に関する問い合わせ先
ディアジオ ジャパン
03-3470-8287
Photo by Taro Oota (写真 太田太朗)
Text by Yumiko Numa (文 沼由美子)
Edit by Shunpei Narita (編集 成田峻平)