茶縁
涼やかな甘露の調べ
氷出し冷茶のすすめ
最近は、冷蔵庫にいれて水出し麦茶を作るように「水出し冷茶」もよく見かけますが、さらにもっと冷たい氷温で抽出する「氷出し冷茶」をご紹介します。氷出し冷茶は見た目が涼やかで、味わいはビックリするくらい濃厚な甘味がします。
通常のお湯出しとは違って、氷から一滴一滴ずつ溶け出る氷温水でゆっくりと茶葉から凝縮した成分が抽出されます。そのため、低温帯で出てくる香気成分・甘味・旨味がしっかり出て、逆に高温帯で出てくる苦味成分が抑えられるのです。
氷出し冷茶はごく少量をなめるようにして口に含むところに、美味しさの真髄と風情があります。小さい茶杯がなければ、お猪口でも結構です。急須から杯に、雫がぽたぽた落ち、やがて最後の一滴になるまで、気長に絞り出してください。
ようやく出来たお茶を口にすると、舌の上から口内全体にじんわりと鮮烈なお茶の風味が広がり、濃密な甘露がのどを潤します。
もし、お友達や恋人に氷出し冷茶を出したら、そのパフォーマンスと新たな味わいの世界に、高確率で感激されますよ (笑) 。使う茶葉は緑茶がおすすめですが、お好みのウーロン茶や紅茶もお試しください。
[氷出し冷茶の作り方]
①自分の好きな緑茶を用意します。
②急須、もしくは平皿に茶葉を広げて、その上に氷をのせます (氷は茶葉を覆うような形状か大きさのものを選び、抽出しやすく配置します)。
③そのまま1時間以上おいて、ある程度の氷が溶けたらできあがり。
④雫がぽたぽた落ちるように、最後の一滴までしぼり出すように急須から茶杯に注ぎます。
量は1人あたり20cc以下です。小さな茶杯に注ぎ、なめるように口に含み、ゆっくりと広がる余韻をお楽しみください。
- The Tea Company Director
田島 庸喜 / Nobuyoshi Tajima
The Tea Company取締役。茶師・薬膳師。北京中医薬大学日本校卒業。和食の板前を経て、漢方医の資格を取得後、東京・広尾にて中国・台湾茶専門店を経営。現在は中国茶文化の研究をライフワークとし、セミナー、商品開発、著名レストランへのお茶のコンサルティング、料理とのペアリングの提唱などを行なう。また、日本国内のお茶生産農家をめぐり、日本茶の可能性について探っている。
http://the-teacompany.jp/