飲めば都〜はしご酒覚書〜
003 葛飾区、立石亀有はしご酒
今年ももう終わりますね。
早いですねほんとに。酒で脳細胞が壊れることはないみたいですが、萎縮は加速するようで。年々どんどんと早くなってますが、酒呑たちはもしかしたら、他の人たちよりもより早い世界に生きているのかもしれません。萎縮していきましょう。
今年の締めくくりとして記憶に残っている居酒屋書こうかな、とも思いましたが、振り返ると素敵な店が多く難しくて(酔ってて記憶がないことも)。個人的に、海外に行ってた期間もありその経験が強く残っているという点もあります。
そういえば映画は覚えてますね。酔ってないので。プロフィールに”映画かもつ焼き”って書いてるくらい、キンミヤを飲む回数と同じくらい映画を観てるのですが、今年のベストは『哀れなるものたち』。邦画の良作も多かったですよね。これ関係ない話ですね。
今回で三回目。
どこを書こうか迷いましたが、先日友人らを案内した立石亀有はしご酒の話を。
立石はもう何回来たのかわかりませんが、毎度、京成線に乗っている時間はわくわくします。呑んべえたちにとってのディズニー。
友人が[宇ち多゛]さんに行ってみたいってところから始まったのですが、久々の土曜日ということもあり「立石8時集合」と伝えました。平日と違って土曜朝は“解散再集合システム”になってるので。
私が先に着き店の前に行ってみると誰もいない。
あれ、私が最初かな?と思って店前で並んでいると
「もう1巡目は無理だから並ぶことになるけど大丈夫? じゃあまた9時半くらいにね、44番ね。覚えといて」と言われた。
私は44番目のお客で、もう朝8時の時点で解散していたのだった。前に来たときはこの時間で確実に1巡目で入れたのだが……以前も今もファンが本当に多い、そして増え続けているのはすごいこと。
ちなみにですが、再集合するまでの時間は南側に歩いて、[ご縁玉]さんやもんじゃの[どんぐり]さんも越えたところにある[パール]さんという喫茶店がお薦めです。お母さんたちがとっても優しい。
この日は11時半くらいだったかな、回転が早かったので割とすんなり入れました。基本は1人、増えて2人、どうしてもなら3人で。今回は私1人、友人3人で宇ち入り。
初めての友人らを遠くから眺める。授業参観日のような気持ちです。
私はいつも平日の場合、あればシンキにタンナマアカイトコオス、ハツガツイッポンズツオス、ガツシオ、シロタレ(たまにヨクヤキ)、レバタレにオシンコショウガノッケテオス。追加でアブラヨクヤキタレ。
なんか文字数増やすためにカタカナで書いてると思われそうですね。
梅割りははしごしない日は5杯半(サイダーそのままをチェイサーで)、はしごするなら1〜2杯。
毎度私も背筋が伸びますが、帰り際の「ありがとね、また来てね」がとても心地よくて。サウナ水風呂からの外気浴みたいな。また行こう。
タンナマアカイトコオス
この日は[宇ち多゛]さん後、[栄寿司]さん、[ブンカ堂]さんへ。
ビールを頼み、ブリに穴子、イカにアジとさっと食べたいものを食べて出る。手頃で美味しいお寿司は2貫ずつなのでシェアもお薦めです。もつ焼き後に寿司の流れは立石以外でもできますが、ここが最適解ではないでしょうか。逆もまた然り。その場合お酒はダメですよ。
[ブンカ堂]さんはどのタイミングで来ても楽しい。シンプルですがどれも食べたくなるメニュー、豊富なお酒、そして店主の西村さんがめちゃくちゃ面白いんですよね。今回ではないですが、以前お邪魔したときに3人組のおじさんが入ってきてビールを注文しようとして。
「ビールは熟撰かギネスの黒いのかですね」
「腹黒いので黒くないビールで」
「マックロクロスケなんですね」
「すみません冗談ばかりのメンバーで」
「アベンジャーズですね」
という流れ。私が笑ってしまいました。
切り返しがうますぎる西村さんのゆったりとした雰囲気に、みな居心地のよさを感じるんだと思います。こちらはぬるま湯ですね。
他にも[丸忠]さんや[二毛作]さん、女将さんが素敵な[たみちゃん]さん、カツハイ(ワインのハイボール)が飲める[鳥勝]さん、餃子がやたらでかい中華の[新鑫]さん、平日なら[倉井ストアー]さんなどなど。長い!と思われるほどたくさん紹介してしまうのは、どのお店も個性的で歩いてすぐにまわれてしまう楽しさと、下町のコミュニティからか、人情に溢れていることも魅力的で温かいからで。
ただ現在は都市開発の白い壁が目立つようになってて。[蘭州]さんは移転されて、[鳥房]さんはまた再開予定みたいですが、私が好きなカチカチのハイボールが飲めた[江戸っ子]さん(ご縁玉さんが確か息子さんの店)はなくなってしまった。
都市開発が必要だったのかどうか、私に細かな事情はわかりませんが、その店内や外観にも歴史が染み付いてると思うので、ちょっと寂しいな、と思ってます。また行かないとですし、行ったことない人は是非行ってみてほしい街です。
立石からタクシーで亀有へ。
亀有に新しくできた本屋[SKWAT]さんに行きたかったからなのですが、みなでトイレはどこだ?と探す4人組に。立石後の酒臭い人たちで行っちゃダメな場所でしたすみません。
この日は休みでしたが、実は亀有にも[江戸っ子]さんがあります。もつ焼きの店です。ここは暖簾から見えるおじさんたちが、いい雰囲気をつくってて寄りたくなるんですよね。立ち飲みですのでさくっともつ焼きを特製ハイボール(焼酎)で流しこむのがお薦めです。
あとは[大衆酒場 ハッピー]さん。名前でもう入りたくなるこちらでは、刺身と毛蟹が入ったハッピー汁を是非。魚介出汁たっぷり、冬は熱燗をあわせるのが最高だと思います。大きいサイズの鍋は8,000円くらいするので全然大衆じゃないですけど、こちら予約必須です。
[第八たから丸]さんで立ち飲みをはさみ、外観が素敵だった[大興]さんへ。この店で衝撃だったのがサワーと3品セットの量。500円のサワー頼んだらメガジョッキサイズ、しかもしっかりお酒が入っている。料理は大将に大丈夫ですか?と聞きたくなるほどの量で結構食べ飲みして1人2,000円でしたね。ほんと大丈夫なんでしょうか? もう大好きになりました。
〆はお母さんたちがやっている[かれんだぁ]さん。1曲ごとにカラオケができます。隣のテーブルのおじさんたちと意気投合しお酒が無料に。ナス焼きを食べながら葛飾ラプソディーを歌う。
どこかに元気を落っことしても、葛飾亀有あくびをひとつ、変わらない町並みが妙に優しい、亀有はそんな場所です。
- Semi-professional Drinker
石井 貴大 / Takahiro Ishii
15年間医療業界で働きながら飲み歩いて3,000軒。もしかしたら4,000軒。現在は空間設計事務所 株式会社PERMANENTに転職し、イラレフォトショに悪戦苦闘し酒に逃げる日々。戸建、リノベ、お店のオープンまで設計の相談待ってます。
IG @ishiiesui