
4人のバーテンダーが考案!
新しい“沖縄の酒”「kagan」を使用したカクテル①
泡盛ブランド「shimmer」など、既存の枠組みに囚われない新たな酒造りへの挑戦を続ける[南島酒販]。この春より泡盛ではない、“沖縄の酒”を探索する新ブランド「kagan」を展開。「kagan(カガン)」は、沖縄の方言で「鏡」を意味し、『酒は風土を表す鏡』という言葉から取られている。亜熱帯地域に属する沖縄の様々な素材を高品質なスピリッツ・リキュールに再構築することで、国内外に向けて沖縄の魅力を発信。今後シリーズを通して県内各所の蒸留所と協業し、沖縄産素材が持つ多様な可能性を引き出した酒造りに取り組む。
その第1弾として、リリースされるのが「kagan Vol.1 たんかんスピリッツ」。たんかんは沖縄の北部地域で広く栽培される柑橘で、濃厚な甘さと程よい酸味が現地でも人気の果物。たんかんスピリッツのベースは2回蒸留の泡盛。それに沖縄産たんかんの果皮とカラキ(シナモンの1種)をそれぞれ分けて浸けた後に再度蒸留したスピリッツをブレンドした。ボトル1本につきたんかんは約2個使用され、まさに沖縄産素材がふんだんに詰め込まれたスピリッツだ。
そんな「kagan Vol.1 たんかんスピリッツ」を使用したカクテルを考案してくれたのが、小岩にある[Cocktail Bar Raven]の伊藤さん。
伊藤広光
1997年生まれ、東京都出身。[Cocktail Bar Raven]オーナー。2020年に[Cocktail Bar Raven]をオープン。2022年から静岡県下田市で白浜蒸留所を経営。バーテンダーとして実店舗に立つ傍ら、酒造にも携わる。
「カクテルにはオートクチュール的な要素がある。目の前のお客さんに向き合った1杯を常に意識しています」
バーテンダーのみならずお酒の製造にも携わる伊藤さん。その経験あってこそ、造り手の想いやお客さんの求めるものを汲み取ったカクテルを提供できるのだろう。まずは「kagan Vol.1 たんかんスピリッツ」を試飲してもらった。
「泡盛ベースなのが珍しい。それにたんかんも、あくまで蒸留で香り付けしていて糖分が入っていない。そういった側面から見てもかなり挑戦的ですし、ふだんあまり目にしない新しいジャンルのお酒ですね。こういったはじめてのお酒と相対して、どんなカクテルにしようかなって考える時間はとても楽しいです」
伊藤さんに「kagan Vol.1たんかんスピリッツ」の感想を語ってもらいながら、目の前に並べられたお酒の数々。果たしてどんなカクテルが出来上がるのだろう。
カクテル①「たんかんの夢」レシピ
kagan Vol.1 たんかんスピリッツ25ml
マンゴーシロップ 15ml
アイラウイスキー 10ml
レモンジュース 10ml
ホワイトミントリキュール 1tsp
生絞り生姜 1tsp
表面には食用花が添えられた。
完成したのは、「kagan」のラベルと同色、なんとも見た目がキュートな「たんかんの夢」。
“はかなさ”を意味する熟語「邯鄲(かんたん)の夢」をひっくり返し、「たんかん」にすることで「kagan」がこの先永らく愛されてほしい。そんな想いがカクテル名に込められた。
「まず、『kagan Vol.1 たんかんスピリッツ』から泡盛とたんかんの両方の風味をしっかりと感じました。その沖縄らしさをしっかりと感じられるように意識しています。泡盛の独特な個性はマンゴーを加えることで、全体を親しみやすい味わいに調整。たんかんとも相性が良いですしね」
さっそく一口いただくと、泡盛の特徴を感じるものの前面には出てこない。ただ、決してその風味が消えたわけでもなく、味わいの奥底で感じられる絶妙なバランス。そして全体を印象づけるのは豊かな果実の旨み。泡盛に苦手意識のある方でも沖縄らしさを楽しむことのできる1杯だ。果実味とは別に印象的だったのが、薬品の香りをも彷彿とさせるピート香と、思いのほかスッキリとした余韻。
「洋酒好きの方にも楽しんでいただけるよう、アイラウイスキーを副材料にセレクトしました。泡盛の香りと同じ時間軸で特徴的な香りがあらわれて、泡盛を包み込みつつフワッと押し上げてくれます。そのあとにたんかんなどの柑橘やマンゴーなど果実の味わいが出てきて、最後はスッとした爽快さが残る。そんなイメージでつくっています」
泡盛好きにも、そうでない方でも楽しめるような味わいの設計。加えてその香りが漂うタイミングまでもが計算し尽くされていた。
「試飲してみたら、いろいろなカクテルに使用できそうだなと思って」と、伊藤さんにもう1杯カクテルを考案いただくことに。
カクテル②「たんかんネグローニ」レシピ
kagan Vol.1 たんかんスピリッツ 25ml
レッドビター 15ml
スイートベルモット 15ml
みりん 5ml
1杯目とは打って変わり、優しくステア。
先ほどよりも落ち着いた見た目の印象。
2杯目に提案してもらったのは、いま世界で最も人気があるカクテルの1つという「ネグローニ」。通常、ジン、カンパリ、ベルモットで構成されるところ、今回はジンの代わりに「kagan Vol.1 たんかんスピリッツ」を使用した。
その気になる味わいは、たんかんの風味はもちろん、加えてリキュールの苦みやハーブ香など各々の個性が直接的に感じられる。先ほどの「たんかんの夢」が、素材の融合による化学反応の結果、味わいが方向付けられたのとは対照的だ。
「たんかんの柑橘香、レッドビターの苦み、ベルモットの薬草感。良い意味で個性が重なっていないので、ガツンとそれぞれの香りを楽しめます。それに『kagan Vol.1 たんかんスピリッツ』に入っているカラキはベルモットと良く合います」
最後に、今回2種類のカクテルを考案いただいた伊藤さんにその極意を尋ねた。
「ボディ感とカクテルとしての飲みやすさの両立には工夫が必要です。ホワイトスピリッツはどうしてもコクやボディ感を表現しづらい。ただ、『kagan Vol.1 たんかんスピリッツ』には、しっかりとした泡盛とたんかんの風味があります。加えて従来の焼酎や泡盛に比べて度数が高いので香りの持続性があり余韻を楽しめ、カクテル使用に向いています。今回は、そこにウイスキーや甘い薬草酒をブレンドしてさらにボディ感を強めたイメージです。その上でアルコール感が強すぎないようにショウガやミントを少々絞って調整しています。今回は2種類のカクテルを考案させていただきましたが、まだまだ他のカクテルにも使えそう。想像を刺激させてくれますね」
2種類のカクテルはそれぞれ全く異なる味わいだった。それでいて、その両者からしっかりと「kagan Vol.1 たんかんスピリッツ」の個性が感じられた。バーシーンにおける和酒の役割、はたまた泡盛および“沖縄産素材”の役割を変える、そんな存在になり得そうだ。
◎kagan Vol.1 たんかんスピリッツ 48度
たんかんはポンカンとネーブルオレンジの自然交配により誕生したと言われ、沖縄の北部地域で広く栽培されている果物となります。kaganたんかんスピリッツでは、2回蒸留の泡盛をベースにたんかんの果皮・カラキをそれぞれ分けて浸漬・蒸留したスピリッツをブレンドして作り上げました。ボトル1本で約2個のたんかんを使用しており、柑橘の渋みをシナモンの1種である沖縄県産の“カラキ”を加えることで甘くまとまった味わいに仕上げました。
https://shimmer.okinawa/products/kagan-vol1
・希望小売価格:3,480円(税抜)
・発売地域:全国
・発売日:2025年3月19日
・販売先:お近くの酒販店様または[南島酒販]営業 徳満様(tokumitsu@nanto-shuhan.com)までお問い合せください
Cocktail Bar Raven
〒133-0057 東京都江戸川区西小岩1丁目19−32 薮田ビル 202
18:00 ~ 25:00
Tel 03-6801-7443
IG cocktail_bar_raven
お酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は適量を。妊娠中・授乳期の飲酒はやめましょう。
写真 木寺紀雄(Photo by Norio Kidera) IG noriokidera
文 菅野匠悟(Text by Shogo Sugano)