
全国から勝ち上がった10名のバーテンダーが腕を競う
第7回本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション レポート
焼酎や泡盛をカクテルに活かす動きが加速する昨今。その盛り上がりを感じさせるカクテルコンペが2月末に開催された。「第7回本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」の決勝戦の模様をレポートする。
2018年から始まり第7回目を迎える本大会。今年のテーマは「日本の文化や自然を感じさせるカクテル」。日本ホテルバーメンズ協会に所属する全国12支部の予選を勝ち抜いた10名の精鋭バーテンダーたちが、オリジナルカクテルの味、見た目の美しさ、サービスを競い合った。
披露されたのは、日本特有の季節の移ろいを感じさせるカクテルや「東京島酒」として昨年GI認定された新島村の文化にインスピレーションを受けたカクテルなど、まさに十人十色のオリジナルカクテル。静まりかえった厳かな会場にて、一言一句選び抜かれた言葉でプレゼンテーションする姿から、その緊張感と熱量がひしひしと伝わる。
実技審査が終わり移動した先の宴会場では、来場者たちが実際にカクテルを堪能。緊張から解き放たれたバーテンダーの方々から、カクテル開発の背景にあるお話や材料の説明を伺いながら試飲。見た目、味わい、そのどちらも個性が際立ち、目で見て楽しく飲んで美味しい。加えてカクテル誕生の背景には各々の物語があることも肌で感じられた。
10名のバーテンダー考案、個性豊かなカクテルの数々
会場には日本酒造組合中央会に所属する蔵元の方々。解説を聞きながら、焼酎や泡盛を試飲できるブースも
約1時間ほどカクテルや会場となった池袋・ホテルメトロポリタンの料理を楽しみ、残すは結果発表。果たして、今年のコンペティションを制するのは。
優勝は、[ゼンティス大阪 アップステアーズ]の小池辰弥さん。泡盛「尚 ZUISEN」をベースに考案した「結ゆい」。泡盛での優勝は第7回目を迎えた本大会で初の快挙。
「今回作らせていただいた『結ゆい』は、人と人が結び合うカクテルです。色んな人に助けていただきながらできたもので、これからも世界に広げて頑張っていきたい」
準優勝は、[札幌プリンスホテル Top of PRINCE]の名取麻子さん。色合いからも伝わるミルキーな見た目の「雪見」は、「本格じゃがいも焼酎 喜多里25%」と「北海道十勝生乳100プレーンヨーグルト」が味わいの要。名取さんがふだんカクテルを振る舞う北海道の大地の恵みがふんだんに詰め込まれた。
「大変嬉しいです。カクテルが『雪見』でちょうど雪どきでよかったです。父と居酒屋をやっていた時から馴染みの深い本格焼酎、今はこの業界で國酒として扱うことができ嬉しく思います」
第3位は、[ホテルニューオータニ バーカプリ]の吉澤翔太さんは、なんと3年連続での受賞。悔しそうな表情を浮かべたものの、連続受賞はたしかな手腕あってこそだろう。考案した「言祝ぎ」のベースで使用されるのは「七福嶋自慢」。生産地にある都立新島高校では、在学時の体験学習としてその原料の芋を栽培。卒業から2年後、成人式の際に熟成した「七福嶋自慢」が贈呈されるという、まさにめでたい焼酎だ。
「3年連続同じ順位をいただきました。上を目指しておりましたが、今後も精進してまいります」
現在、日本のみならず海外のバーシーンでもブームを引き起こしつつある焼酎カクテル。そのトレンドは焼酎がつくられ続ける、ここ日本から発信。そんな未来への期待を感じさせられる熱量の高い一日だった。