名盤カレー
08.ニール・ヤングでカレーを作る
Neil Young/アルバム『After the Gold Rush』(1970)をBGMにミートボールカレーを作ってみた。 総調理時間:34分52秒 ときにシニカルでときにメッセージ性の強い歌詞と、美しいメロディ、ゆるく気怠い歌声。いくつかの異なる個性がひとつに集約されたアルバムである(と僕は感じている)。 深く考えずに聴いていた時代はわかりやすく感じていたニールヤングも、少しだけ深く知ることで捉えどころのない印象が強まっていく。 そんなエッセンスをカレーに投影してみる。一見、わかりやすい(子供だましな?)ミートボールのカレーで、短時間でシンプルなプロセスで作られる。でも、その実、昆布だしのうま味を効かせたり、しょう油やみりんなどの隠し味が潜んでいたりと、ちょこちょこ面倒くさい。この感じが僕のニールヤングかなぁ、と思っている。 ※ 曲が変わるたびにプロセスを変えます。 ※ レコードをお持ちの方は、A面からB面へのスイッチをスピーディに。 ※ CDをお持ちでない方は、YouTubeなどをご利用ください。 https://www.youtube.com/watch?v=4vPAZbU047I
【材料3〜4人分】
肉団子の材料 ・合挽き肉 500g ・塩こしょう 適量 ・溶き卵 2個分 ・カレー粉 大さじ1弱 だし用昆布 適量 水 350ml 植物油 大さじ3 玉ねぎ 大1個(300g) にんにく 1片 しょうが 1片 トマト 1個(200g) カレー粉 大さじ2弱 塩 小さじ1 濃い口しょう油 大さじ1 みりん 大さじ2
【作り方・A面】
1. Tell Me Why(2:54) ミートボールの材料をボウルに入れてよく混ぜ、適当な大きさのボール型に分けておく。
2. After the Gold Rush(3:45) 玉ねぎをスライスする。鍋に油を熱し、玉ねぎを加えて強火で炒める。水に昆布を加えておく。
3. Only Love Can Break Your Heart(3:05) 強火のまま玉ねぎを炒める。にんにくとしょうがをすりおろす。
4. Southern Man(5:31) にんにくとしょうがを加えて強火のまま炒める。トマトを粗みじん切りにする。
5. Till the Morning Comes(1:17) 大さじ3程度の水(分量外)を加えて全体をよく混ぜ合わせ、水分を飛ばすように炒める。
【作り方・B面】
1. Oh, Lonesome Me(3:47) トマトを加えてふたをして蒸し煮する。鍋底が焦げないようにときどきかき混ぜながら。
2. Don’t Let It Bring You Down(2:56) ふたを開けてトマトをつぶしながら炒める。
3.Birds(2:34) カレー粉を加えて弱火で香ばしい香りが立ってくるまで炒める。場合によっては火を止めてもいい。
4. When You Dance I Can Really Love(4:05) 昆布と水、ミートボールを加えてふたをして中火で煮る。
5. I Believe in You(3:24) ふたを開けて昆布を取り出し、再びふたをして中火で煮る。
6. Cripple Creek Ferry(1:34) ふたを開けてしょう油とみりんを加えて煮る。
【チャレンジ感想】 トータル時間が短いアルバムでありながら、A面1曲目“Tell Me Why”では点火をせず、余裕な感じでミートボールをこねる。ノリノリで。A面2曲目のアルバムタイトル曲“After the Gold Rush”で突然、あわただしいプロセス。なんとか玉ねぎ炒めを開始。あとはオーソドックスなプロセスで余裕をもって調理する。 B面1曲目“Oh, Lonesome Me”は、コーヒータイム。トマトの加熱がうまくいけば、その後は楽勝。B面3曲目は、大好きな大好きな“Birds”。ミーターズのカバーバージョンも好きだなぁ、とか思いながらカレー粉を加え、ゆったりとゆったりと香りが立ち上るのを楽しむ。この時間が長く続けばいいのに、と思うのだけれど、2分半という短時間で楽しい時間は終わりを迎える。B面6曲目“Cripple Creek Ferry”で仕上げ。完成に向けての高揚感にこの曲はピッタリだ。 おいしいカレーができました。
- AIR SPICE CEO
水野 仁輔 / Jinsuke Mizuno
AIR SPICE代表。1999年にカレーに特化した出張料理集団「東京カリ~番長」を立ち上げて以来、カレー専門の出張料理人として活動。カレーに関する著書は40冊以上。全国各地でライブクッキングを行い、世界各国へ取材旅へ出かけている。カレーの世界にプレーヤーを増やす「カレーの学校」を運営中。2016年春に本格カレーのレシピつきスパイスセットを定期頒布するサービス「AIR SPICE」を開始。 http://www.airspice.jp/