食の学び舎「foodskole」授業体験レポート vol.7
なぜ料理をするんだろう?
まずはじめに。
こんにちは。食の学び舎「foodskole(フードスコーレ)」で校長をしています平井巧です。
foodskoleでは、2021年4月から「21年度前期Basicカリキュラム」がスタート。社会人から大学生、年齢も立場もバラバラな方たちが、9月までの半年間、全12回の授業を通して一緒に食について学び合います。
食を文化として学び、食にまつわるモノ・概念を持論で創造し、生きる力を持つ。これを「食の創造論」として、foodskoleのテーマに置いています。
foodskoleの授業の中で、ゲスト講師に教えてもらったこと、受講生のみんなで話し合われたこと、気づかされた視点は毎回たくさんあります。これをレポートとして形に残すことは、後々の振り返りとしてきっと役立つはず。
何よりfoodskoleの中にいる自分たちだけでなく、食のことが好きなたくさんの人たちに、このことをおしみなく共有したい。そんなことを思いましたので、いま受講している方に、授業の「体験レポート」を書いてもらっています。
過去レポートはこちらから
1回目: まずは循環のはなし。世界のこと。
2回目: 発酵でつなぐ都市と地域。
3回目: 市場、ポケマルとスーパーの違い。
4回目: 野菜は誰かが運んでいる。
5回目:見える畜産。
6回目:食材の始末を考えて料理をするということ。
foodskoleで学ぶ自分たちがそうであるように、これを読まれた方たちにも、「食」の向き合い方に良い変容が起きることを期待して。これからこの授業体験レポートをお届けしていきたいと思います。
foodskole 公式サイトは、こちらをご覧ください。
第7回目の授業は「なぜ料理をするんだろう?を考えてみる。」をテーマにクックパッド コーポレートブランディング部 部長の横尾祐介さんをゲスト講師にお招きしました。
今回の体験レポート担当は、foodskole生のあさば ふみさんです。(foodskole校長/平井巧)
こんにちは!
フードスコーレ 受講生の あさば ふみ です。
2回連続授業のレポートを担当します。
入学式を終え、これからどんな授業が繰り広げられるのだろうと思っている矢先に「授業テーマについて今思うことを書いてみよう!」と講師の横尾さんから受講生に声かけがあり、実際の授業の日程までの間様々なやりとりを事前に行ってきました。
〇料理という概念をどうとらえるのか考える人
〇料理を始めたきっかけや今の環境を伝える人
たくさんの投稿の中で出た言葉を、横尾さんが分布図にまとめて下さったものがこちらです。
中央に現れた「食べる」を取り巻く言葉たち。
〇楽しい、美味しい、といった食卓の情景が浮かぶ言葉
〇細胞壁、再現実験、など調理の工程を連想させる言葉
これはどなたの投稿?私はどんなことを書いたのだっけ?と、食の学びを深める仲間ならではの分布図に面白さを感じつつ、迎えた授業当日。
最初に横尾さんにお話いただいたこと。それは「本日の授業に答えはない」ということでした。
それぞれの思考や環境によって答えが異なるのは当然です。正解なんてそもそもない中で、以下の質問を投げかけられながら授業が展開していきました。
〇好きな料理は何ですか?
〇思い出に残っている料理は何ですか?
〇あなたにとって料理とは?
それぞれ数分で思ったことをメモし、お互いが書いたものや話していて浮かんだことを少人数グループで共有するスタイル。前のお話とリンクしている内容にお人柄が見えたり、聞く中で自分と照らし合わせたりと、短い中に濃い時間を過ごしました。
グループワーク後の全体共有では、
〇一人暮らしをきっかけに、食べるなら自分で作らないと、節約もしないと。と始めた料理が、昨年からの自宅を楽しむ流れを背景に、時間をかければかけるほどおいしくなる煮込み料理にはまり、友人と自宅で料理することに楽しみを覚えている方。
〇作れる料理はフードスコーレで習った「ごはん・みそ汁」の2種ですが、様々変化する汁と受け止めるごはん、これで世界が半分できていると思う。と、お話される方。
「あなたにとっての料理とは?」の問いに対し、生きるための義務から楽しむ趣味の域の意見が出たり、シンプルなメニューで皆が頷く名言が飛び出したり、皆様のお話をもっと聞きたい!と感じました。
ちなみに、「好きな料理は何ですか?」という問いに対し、講師の横尾さんが好きと答えた料理は、母の味でした。
そのことを実際にお母さんに伝えたところ、唐揚げは「市販の唐揚げ粉よ。」と言われ、トマトスープは「たくさん作って翌日もアレンジできるから。」という答えだったとか。
もっと手の込んだメニューが好きと言ってくれたらよかった。と思われたかも。というエピソードにみんながほっこりしました。
そして息子として母の話をされる横尾さんのお話に、自分が娘として、母の料理を考えたことがないなと思いつつ、大人になった今、自分が母の立場となり娘たちにつくる好きなメニューには母の味を真似たものもあり、受け継ぐ味について考える機会になりました。
最後の問いかけは
〇あなたにとっての料理とは?の答えに影響を与えた出来事を3つ思い出してみよう(幼少期・成人後)
改めてグループに分かれて、記憶を辿りながらそれぞれ話し合いました。これまで3回の問いかけから深めて共有する時間は、皆がじっくり噛みしめているようで、さらに濃く感じました。
横尾さんのご自身の体験もお話いただきました。幼少期に培われた好き嫌いや食べ残しに対する感覚が今の生活に影響していること、青年期に生きることの根源に関わる食の世界に職を変えたきっかけ、最近は食にどんな趣味を持つ人にでも合わせられ、嬉しいがつながれるようにしたい。などの内容をお聞きし、横尾さん自身が考える「料理」の背景を垣間見た感じがしました。
同じ経験の人は一人もいない、だからそれぞれの料理観は「私」バイアスがかかっている。合っているも間違っているもない。今、この時感じている事が、数日後には変わっていることだってある。それぞれが書いた好きな料理やきっかけ、経験の中で今思っている「料理」を大事に。
授業前、授業の冒頭でもお話しされたこと、授業の終わりにまた聞くと、少し深いところに入っていく感覚があり、日常で「料理」について考えを巡らせてみたいと思いました。
最後には宿題が出てDAY7は終了。
宿題という響き、予告された提出方法もユニークで、今からワクワクしています。
次回もお楽しみに!
あさば ふみ
フードスコーレの文化祭をきっかけに21年度前期コースを受講。
小学生姉妹の母です。
娘たちが心身ともに健やかにに育つために、を考える日々。
私が楽しい!と思う場所や人と面白いことを考え実現するのがライフワーク。
常に何かしら動いています。
- Food Producer
平井 巧 / Satoshi Hirai
foodskole校長/株式会社honshoku代表/一般社団法人フードサルベージ代表理事 1979年東京都生まれ。新潟大学理学部卒業。広告代理店での企画営業を経て独立。「サルベージ・パーティ®︎」を中心に企業・行政のfoodloss&waste にまつわる課題解決を手がける一般社団法人フードサルベージを設立。食のクリエイティブチーム株式会社honshokuでは、「食卓に愉快な風を。」をキーワードに、食にまつわるコンテンツ運営、クリエイティブ制作、プロデュース等を行う。2020年より食の学び舎「foodskole(フードスコーレ)」を開校。 https://www.honshoku.com/
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