一期一食
#48「Deep dive FUKUOKA — farm to table to… —」
仲間の移住が本格的に起き始めている気がする。仲が良い仲間が何人も福岡に越していて、僕もツアーのたびにその仲間と会ったりするようになったのと、仕事の関係で訪れることもこれから増えそうだ。アメリカの音楽シーンみたいにローカルの個性が少し時間が経つと本格的に出てくるのかもしれない。時代が戻っているんだか、進んでいるんだか。トレンドは螺旋のように繰り返されるわけか。
もちろん、いつも通り新しい地域に行けば、サウナ探しから始めることは変わらないのだけど、自然といい店にも出会うものですね。今日のお店は、理念から、設えから、料理から完全に僕のツボのお店に出会えたので、そこが今日の一期一食です。
福間市にあるイタリアンのA.PUTEC FLEGO(アプテカ・フレーゴ)です。
福津市にある農場の目の前にある古民家をリノベーションしてできているイタリアンレストランです。農園は「Tenuta campi flegrei(テヌータ カンピ フレグレイ)農園」と言って、イタリア野菜など年間80~100品種を収穫する大きな農場になっており、全国の飲食店に野菜を卸しています。その直営レストランがここです。
中に入ると、マルシェがあったり、
奥のレストランエリアには、とてもカラフルで立派なピザ窯があります。窯の前にいるのが、オーナーのシルビオさん。
大体は仲間と行くのと、シルビオさんのコースが大好きなので、今日もコースで。
まずはゼッポリーニから。モッチモチで美味しい。
アンティパストミスト。
イタリア品種のカボチャのタルト、レモンライスコロッケ、魚のフリット、パプリカのクリームシュー。季節感感じられるプレートです。ここのお店はノンアルコールワインも美味しいものが飲めるので、ノンアルでいただくことが多いです。
マルゲリータ。たまらん。僕はジューシーなマルゲリータが大好きで完全に好みのタイプのピッツァですね、ここのピッツァは。
ジビエのピッツァ。そうなんよ。こういう使い方もあるのよ。本当にセンスが好きです。
ジビエのパッケリ。ジビエの味は主張が強いから、このくらいパンチのあるパッケリの方が噛み心地も味もいい。ビジエの出汁を思いっきり吸ったパッケリは本当に美味しいし、汁で負けないコシの強さも好き。中にソースが入り込むのも好き。パスタの形って本当に面白い。いずれ研究したい内容だ。
魚介のパスタも。福岡は海里山が近い地域が多いから本当に食材に恵まれている地域なんだよね。訪れるたびに新しい発見があって面白いなと思ってます。
デザートも。地元のお菓子しか作れないとおっしゃっていましたが、十分すぎるくらい美味しい。むしろ、これだけでいい。大好き。
僕が生クリーム系のケーキをあまり食べないので、とても嬉しい。
こういう店がなんで徒歩圏内にないものかね(笑)。
ここ数年そう思える店がたくさんある。食だけがきっかけじゃないけど、こうやって拠点が増えていくのかな。パソコンでどこにでも出来る仕事の人でもそうじゃないとしても、自分の大切な時間をどこで過ごすか、何をするかこの数年人類は突きつけられたはずだ。変わった人、変われた人、変わらない人、変われない人。入り乱れながら価値観は練り上げられていく。ミュージシャンのように全員その場に集まらないと成立しにくい仕事でさえ、いろんな所を活動拠点にしながら、その生活や選択も個性になる時代。
あの日、あの時、あの場所で何をやって生きていくか、そのプロセスと軌跡がブランドや個性になっていく。
人生の選択次第だ。やるならきっと早い方がいい。僕の人生では少なくともそうだった。常に今日が人生で一番若い日であり、未来ではない。気付いたら40歳も超えていた。走り抜けた。やっと振り返られる余裕が最近出てきたくらいだ。そこに不惑と来たもんだ。全く毎日悩み迷い続けているけど、自分の取り扱い方はわかってきているので、楽しくもなってきている。それにもう少し若ければ完璧なのになと思ういことは多いけど、まぁ十分場数も踏ませてもらえるし、生き急いでいると言われ続けた人生だ。本当に運がいいもんだ。
自分の演奏にそういう自分の歩いてきた軌跡を込めるようになってきたのかもしれない。今まではそういうことをあまり好んでなかったんだけど、バンドに帯同してから僕の音楽観も変わり始めている。あれだけ確立するべくやり続けているのに、こうやって人との出会いで人は簡単に変わってしまう。それが楽しいんだけど。
From the C ツアー合間の徒然書きとして。
- Bassist
濱田 織人 / Orito Hamada
ベーシスト、音楽プロデューサー、クリエイティブディレクター、NPO法人SOMA副代表理事、アトリエリスタ、茶道家。芸術修士(MFA)。スタジオミュージシャンとして演奏活動しながら、作編曲、作詞、プロデュースと幅広く活動。2017年クリエーティブブティック創業後、活動範囲を音楽以外にも拡大し、芸術教育などにも力を入れ始め、NPO運営にも携わる。日本唯一のベースの専門誌ベース・マガジンにて連載経験あり。プライベートでは、裏千家茶道家として初音庵主宰。密かに楽しんでいたサウナの魅力をゆるやかに発信中。サウナ・スパプロフェッショナル。 https://www.instagram.com/oritosroom/
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