おいしい裏話
深夜(RiCE No.23に寄せて)
生きているとどうしても、「えっ、仕事が終わって気づいたらもう夜の十一時?腹ペコだよ」というときや、「さっき食べた定食、少なくて腹が減ったなあ」みたいなことが起きる。そんなとき、あの店があると思うのはとてもありがたい。あの有名なロイホのオニオングラタンスープなんて、夜中に飲むと感動する。
ソウルはそんなに治安がいいわけではないし、タクシーの運転手さんがすぐ距離をごまかすので(当時です、最近は知りません)、深夜にうろつくことはあまりなかった。でもライブの終わりが十二時とかっていうことが当然のようにあるので、ふつうに時差ぼけた感じの晩ごはんになることもある。しかし深夜までやっている店が山盛りあって、底知れない活気を感じる。ソルロンタンはその代表で、深夜に食べてこそ力を発揮する食べものだと思う。
赤坂一龍 別館
03-3582-7008
東京都港区赤坂2-13-17 シントミ赤坂第2ビル 1F
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、2022年8月『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数。近著に『下町サイキック』がある。