おいしい裏話
価格(RiCE No.24に寄せて)
みかん狩りってしたことがないんだけれど、いちごよりもきっと安い上に楽しそうだ。
なによりも柑橘類って葉っぱがいい。あの葉っぱによく似たおそろしい虫たちも厳しい棘も潜んでいる場合があるけれど、それでも見た目のあのくっきりした感じ、そこにはっとするオレンジ色の実がごろごろついている感じ、和みすぎる。
東京の近くの某市では、みな庭でちょっとした畑をやっていたり、果樹を植えたりしているのはすてきなのだが、それを庭先でわりと高価な値段で売っている。
無人販売というよりも、家の前販売。
夏みかん一個百円って別に安くないよね?と思いながら見上げると、まだいっぱい実がなっている木がそこにあって、出どころと販売がこんなに近いのにありがたくないぞ?と首をかしげる。だいたいどの庭でも何か育てているので、近所の人は買わないだろうし、車で通る他県の人もいなそうだし、ターゲットがわからないのもなんだかすごい。
館山フルーツの丘 www.fruitnooka.co.jp
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、2022年8月『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数。近著に『下町サイキック』がある。