連載「あの人、そのレシピ」
二人目、龍﨑さんのドライカレー
あの人が作る、記憶に残るあの料理。
親や友人、身近な人々の料理にお金を払ったりすることはないけれど、
お店では食べられない味と空気が確かにそこにある。
人とレシピ、そしてその背景を僕の目線で記録することにした。
(取材・写真・文=濱田晋)
龍﨑さんのドライカレー
龍﨑さんは写真家だ。
昔はたまに家でご飯を食べたり、飲みに行ったりしていたけれど、最近はあまりゆっくり会えていなかった。
料理が上手で、手作りラー油や手作りマヨネーズまで作ってしまう。久しぶりに食べたくなって、いざ西東京へ。
濱「料理色々作りますよね」
龍「飲食で長いこと働いてたからさ」
濱「タイ料理屋でしたっけ?」
龍「あと居酒屋とイタリアン」
濱「居酒屋もあるんですか?」
龍「あるよ。立川の個人経営の。あ、米は研がないからね。カリーだから。タイ米だし。これは女王?王様? どっちだっけ。カルダモン。硬っ! 手でやるの痛すぎ」
濱「てか今日はなんでドライカレーなんでしたっけ?」
龍「母親の料理なんだけど、子供の時ドライカレーっていうとハズレの日だったのよ。子供だったし辛いの食えないし。でも親父がすごい好きでちょくちょく出てきたメニューで。大学で一人暮らしするようになって、実家の味食べたいな〜ってなった時に、ドライカレー作りたいと思って。で、実家帰った時に母親からレシピ聞いて作るようになった」
濱「一回目で完全再現できました?」
龍「一回目はできなかったかなぁ。今はできてると思う」
濱「じゃあ今日は龍﨑家のドライカレー食べてると言っても過言ではないと」
龍「そうそう。全然いいと思う」
濱「それ何用ですか?」
龍「これトマトサラダ。あ、トマトサラダかも、一番最初に作った母親の料理」
濱「じゃあ今日はドライカレーとトマトサラダですね」
龍「そうだね」
濱「いい匂いしてきたなぁ〜」
龍「美味しいと思うよ。だって山岡士郎も言ってたもん。『空腹は最高のスパイスだ』って」
Cooking by Suguru Ryuzaki
Photo, Interview & Text by Shin Hamada
Edit by Airi Kato & Yoshiki Tatezaki
- Photographer
濱田 晋 / Shin Hamada
1987年 兵庫県出身
主にポートレイト、ドキュメンタリー、取材の分野で撮影を行う。2022年より思考実践『HAMADA ARCHITECTS™️』を始動。
shinhamada.com
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