おいしい裏話
「フランスみ」(RiCE No.29に寄せて)
お気づきの方もいらっしゃるとは思うが、そのバゲットサンドのお店は、前も書いたかもしれない、渋谷の[VIRON]です。
もちろん安くはないが、パリで買って食べるジャンボンフロマージュの味を完璧に思い出せる。長い間いろいろなところで買ってみているが、日本では他に並ぶお店がないように思う。
先日、今はパリ在住の猫沢エミさんと対談をしたら、おみやげとして缶に入ったクッキーをくれた。
それを食べたら、脳天まで突き抜けるくらい、エシレなんて幼稚園児くらいに感じるバターのおいしさが襲ってきた。ブルターニュ地方の港町で作られる、ガレット・カンカレーズというものだそうだ。
ああ、違う、なにかが違うんだ。そしてそれはきっと小さいようでものすごい違いなんだ!またしてもそう思わずにいられない感覚を得た。
VIRON https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13004626/
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、2022年8月『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数。近著に『下町サイキック』がある。