連載「あの人、そのレシピ」

九人目、新川さんのあらびきキーマカレーとラッシーもどき


Shin HamadaShin Hamada  / Nov 10, 2023

あの人が作る、記憶に残るあの料理。

親や友人、身近な人々の料理にお金を払ったりすることはないけれど、
お店では食べられない味と空気が確かにそこにある。

人とレシピ、そしてその背景を僕の目線で記録することにした。

(取材・写真・文=濱田晋)


新川さんのあらびきキーマカレーとラッシーもどき

あっという間に11月。半袖であるく水天宮。
腹を減らして食べにいこう。
六甲颪みたく、颯爽と彼が作るあらびきキーマカレーを……

濱「とりあえず、おめでとうございます」

新「ありがとうございます! 38年ぶり。濱田さんまだ生まれてないですよね? 僕が高校三年生の時だから」

濱「生まれてないすね。いつからファンなんですか?」

新「生まれは兵庫県の伊丹で、甲子園のある西宮の隣だからもう自然に。濱田さんも一緒でしょ?」

濱「あ! 新川さん兵庫県か。そう僕もです。てか待ってください、もう何か実験始めそうな感じじゃないですか」

新「いやいや先ずはラッシーもどきから。もう始めちゃって良いですか?」

濱「是非! こんな料理の写真撮ったことないすよ。バナナの皮投げ捨てて」

新「黄色はね、タイガースカラーなんで」

濱「抜かりないすね。高校生からずっと阪神ファンなんですね」

新「いや小学生くらいから。親は巨人ファンなんですけどね。今日もスポーツ新聞読んでたけど、掛布とか川藤とか昔の人のコメントがたくさん載ってるんですよね。ファンには嬉しいもんですよ」

濱「誰のファンだったんですか?」

新「藤田平ですね。85年の優勝の時にはもういないけど」

濱「リーグ優勝の時どんな気分でした?」

新「いや〜浮き足だってましたね。次の日一緒に撮影でしたもんね?」

濱「確かに! 浮き足だってたわ! 球場で優勝見届けたいとかは思わないですか?」

新「もちろん何度も試合は観に行ってるけど、大阪だし遠いんでね。行くと負けそうな気もするし。でも2003年の時はネットでチケット買って行きましたよ。その日は優勝しなかったけど。あ、ししとう平気?」

濱「平気です。辛いのとかパクチーとか何でも」

新「よかった。粗挽きなんだよこの肉。島に渡って歩いて肉買いに行ってる。いいでしょ?」

濱「それ言いたいだけのやつでしょ。書いとくすわ」

新「でもほら四方川に囲まれてて陸に面してないでしょ?」

濱「孤島すね。てか早! もう出来てるじゃないですか新川ちゃん! 美味そう」

新「良かったらパクチーソース(※奥様手作り)も使ってみてください」

濱「いただきます! 今日これから何するんですか?」

新「デイリー買いに行かなきゃ」

Cooking by Takashi Shinkawa (X/Twitter @shinkawa_takash)
Photo, Interview & Text by Shin Hamada (IG @shinhamadastudio)
Edit by Yoshiki Tatezaki with assistance by Rin Inoue

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