飲めば都〜はしご酒覚書〜

001 西新宿〜新宿、串の品川亭、三日月からのナルシス


Takahiro IshiiTakahiro Ishii  / Sep 7, 2024

はじめまして。 石井といいます。
有名でもなんでもない方の石井です。
たまたまお酒好きが高じてお声がけいただき、
RiCE.pressにてちょっとした連載を書くことになりました。

酒なら俺も好きだ!私も好きだ!なんて声が聞こえてきそうでちょっと不安で、まだちょっと恥ずかしさもあるのですが、私の個人的な私なりの飲み歩きを日記のように書けたらと思ってます。文才はないですし、ものすごく小さい世界の話になると思いますが、読んでいただけたら嬉しいです。

はじめましてついでにこの連載テーマについてもう少し。
私のInstagramに、座右の銘でもない、ただなんとなく
「飲めば都」という言葉を書いてまして。

私は食べたり飲んだりが好きなので、
それが美味しかったらもちろんそれで最高なわけですが、
どちらかというとお店の空気感や店主・スタッフさんの雰囲気だったり、
食べ物飲み物以外の部分も大事にしたい気持ちがありまして。
その場にいるだけで“ゆるゆると心健やかに過ごせる時間”を求めて
色々なお店をまわっています。
住めば都ということわざの本来の意味は
“住んでしまえば居心地がいいよね”
ってことですが、
“飲んでしまえば居心地がいいよね”って。
そんな感じです。

編集さんからは「いつものはしご酒を書けば“飲めば都”が伝わると思います!」
って頼まれたのですが、最初なのでどのエリアのどの店を書いたらいいのか迷ってしまって……とりあえず、直近で行ったお店のことを書かせていただきます。

ずっと行きたいなぁと思っていた居酒屋のひとつに、
西新宿の[串の品川亭]さんがありました。
今までもこれからも私は老舗が好きなので。
仕事終わりに時間ができたので寄ってみることに。

長いことやられているお店は、まずその面構えが違います。
もちろん古いからってのもありますが、
長年愛されてきたんだろうなって、
入る前から感じるというか。
照らされたボロボロの看板を見て安心してしまうのは私だけじゃないはず。

店内は10名入れるかどうか。小さな小上がりもあります。
店中に飾られている七福神のお面の数々は常連さんが持って来られたものだそう。
吉田類先生が笑顔で写った写真が飾られているのは、こうしたよき酒場におけるほぼお約束のようなものです。
茶色くなったメニュー。私は色弱なのですがこの色はわかります。
好きな色は?と聞かれたら「この色」ですと答えます。

まずはピリキュ(お新香のようなもので、きゅうりの上ににんじんの細切りと唐辛子)と角煮と瓶ビール。
女将さんは私の荷物の置き場所を気にかけてくれて、その一言も嬉しく。

ちょっと逸れますが、私は一人飲みをする際「まずは2,000円前後で何を注文できるか」を考えます。お酒も含めて。
大体そうなると肴が2、3品にお酒が1杯。安いところはお酒が2杯いけたり。
それを考えながら注文するのが楽しくて。
はしご酒をするとき、居心地がいいなってときはもちろん長居することもありますが、大体この“2,000円ルール”を基本にまわってます。

普段お店では、ついてるテレビ(相撲中継だとなおよし)を観たり、
スマホをいじったり、またはスマホはしまって店内の色々を眺めながら飲んでいるのですが、特に聞こうと思ってなくても他のお客さんの会話が聞こえてくるのが一人飲みあるあるで。決して盗み聞きではない、と言いたいのですが、それも含めて居心地のよさが生まれるのだと思っています。

この日は、私の隣にサラリーマン2人組、小上がりにお子さんとその親の方?がいました。
サラリーマンのお二人は居酒屋の話をしていて。
「新橋の美味ぇ津さんは美味しい」
「町田の柿島屋さんに行きたい」などなど。
行ったことのあるお店の話が聞こえてくるときなんかは、
会話に参加したくなったりもしますが空気を読みつつ。
なんとなく話したそうな人は大体わかるので。

家族連れの方とお店の方は知り合いのようで楽しそうに話されてました。
「うるさくしちゃってごめんね」と。
「全然いいんですよ」と返す。
あまりにも常連贔屓のお店ではちょっと悲しくなったりすることもありますが、老舗のお店でそういうことを感じたことはあまりない。

つくねとシラスおろし、熱燗を2本おかわりして友人と合流。
ごちそうさまでした。

タクシーで新宿へ移動しはしごします。
新宿でお薦めしたいお店はたくさんありますが、
今回は[三日月]さんと[ナルシス]さんを。

[三日月]さんは歌舞伎町の抜け道にあるお店。
暖簾をくぐれば、まわりの喧騒とは無縁のゆったりとした空気が流れています。
タイムスリップしたようなこの感覚、
私がまた行きたくなる店に共通している部分のひとつです。
女将さんと息子さんでやられているのですが、
刺身、湯豆腐、牛カツ、どれを頼んでも美味しい。
値段は書いてませんが、飲みすぎなければ高い会計にはなりません。
ここでは是非野菜炒めを。
味つけ、炒め具合、完璧です。
今食べたい。

何よりこちらも接客が素晴らしいんですよね。
歌舞伎町No. 1ホストは息子さんじゃないでしょうか。
「〆に旬の果物はいかがでしょうか?」と渋い声で。
ハマるとはこういうことなんでしょう。
注意点として帽子は脱がなければいけないので忘れずに。

[ナルシス]さんは、人で溢れる新宿TOHO近くにあります。
階段を上がるまでは、まさかこんな素敵なジャズバーがあるなんて、と思うはず。
カウンター含め、奥行きがある広い店内なのですが、ママさんお一人で切り盛りされています。
私は音楽に詳しくありませんが、レコードから聞こえてくる音だったり、
その空間で飲むことが好きなのでよくジャズバーやジャズ喫茶に行きます。
こちらもお気に入りのお店のひとつで。
映画前でも飲み会後でも、少しゆっくり過ごしたいときにお薦めします。
煙草が吸える環境なのでタイミングによってはきついかも。
余談ですがママさんの「ごめんごめん」って声もかわいいです。

冒頭でおことわりした通り文才はないと思っているので面白みのない文で申し訳ありません。が、もしここまでこれを読んでくれて、誰か一人でも紹介したお店に行ってくれたら嬉しいです。ちょっと行きづらい西新宿も、喧騒の新宿歌舞伎町も、こうしたお店によって少しでも居心地のいい場所だと感じていただけたら。

さて、次回はどこにしようか。また悩みます。

串の品川亭 東京都新宿区西新宿4-13-13
三日月 東京都新宿区歌舞伎町1-3-10
ナルシス 東京都新宿区歌舞伎町1-13-6 2F
ご利用の際には各店舗の営業情報をご確認ください。

(Edit by Yoshiki Tatezaki)
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