豊かさってなんだ? 令和のフードベルリンライフ

002 バーベキューとビールがあれば、みんな幸せ


Masayuki DoiMasayuki Doi  / Nov 1, 2024

秋のベルリン、もう随分と寒くなり日が短くなってきた。
暖かい日差しが恋しい気分なので、少し今年の夏のことを振り返ろうと思う。

ベルリン夏の風物詩、バーベキューと湖。
水に入ることに関心がないこともあり湖には一度も行かなかったが、バーベキューは何度か参加した。

首都に指定されるような都市にしては、公園がたくさんあるベルリン。
天気が良い週末には、街中のいろんな公園でバーベキューが行われる。
ただし、日本のバーベキュー場で行うものとはちょっと異なっていて、だだっ広い芝生にバーベキューコンロを持ち込み、ビニールシートやテントを広げて楽しむスタイル。
利用料0円、もっと気軽なタイプのバーベキュー。

僕が住むエリアの近くでは、フォルクスパーク・フリードリヒスハインという州立公園に多くの人が集まる。
黙々と上がる煙、爆音で流れる様々な言語のカラオケ、That’s Berlin.

煙が上がるフォルクスパーク・フリードリヒスハイン。もはやフェス感

バーベキュー好きのベルリナーは、自分用のコンロを持っている場合も多い。
が、コンロを持たない私のような新米ベルリナーはどうするのか?
そんなことを思いながらスーパーに行ったある初夏の日に目にしたのが、入り口付近にずらりと並べられた簡易バーベキューコンロ。
炭も着火剤も入っているから、食材を買うだけでバーベキューが楽しめる、そんな優れもの。

スーパーで購入できる簡易バーベキューコンロ。しかも€3ほど

バーベキューに欠かせないもう一つのもの、それはビール。
ビール大国ドイツでは、スーパーにも無数のビールブランドが並ぶ。
そして、500MLで€1〜2ほど。あまりにも安い。
ちなみに、2022年のドイツの一人当たりのビール消費量は93.3L、日本の34.2L の2倍以上。(出典:キリンビール株式会社:2022年 世界主要国のビール消費量)
この価格で味も多様で美味しいとなると、ついつい飲みすぎてしまう。痛風とビール腹の恐怖。

もう飲むべきものを理解しているベルリナーたちは、ドカンと20本入りのケースを購入して公園へと向かう。

スーパーでボトルビールのケース購入が可能

新米ベルリナーのうちは、いろいろ試しては好みのものを見つける。
私もいくつか好きなブランドを見つけたけれど、まだまだ飲んだことがないビールが無数にある。
もともとビール党ではない私でさえ、好奇心から流石によく飲むようになった。
バーベキューの時は、いろんな種類のビールを買って友達と利きビールをしてみたりもする。

試しても試しても終わらないドイツビールの旅

バーベキューの後は、ビール瓶を一箇所にまとめて置いて帰ることが多い。
ドイツのスーパーでは、ビール瓶ごとにデポジットの金額が設定されていて、まとめて持っていくとそこそこの金額が返ってきたりする。
なので、必要な人のために一箇所にまとめておいたりする。

スーパーのデポジットマシーン。吸い込まれていく瓶を見るのが意外と楽しい

話が逸れてしまうけれど、ベルリンという街には色んなものが落ちている。
余ったパンがベンチの上にたくさん置かれていたり。
使わなくなった大きな家具を家の前に置いていたり。
私自身、自宅の前の通りで綺麗な圧力鍋を拾うというラッキーな出来事を経験した。
ベルリンの道には、ゆるい優しさが溢れている。

ベンチに積み重ねられたパン。ちょっとかじられているものも

ある日の夜中に道端で発見した大きな家具。次の日には解体され、天板が持ち去られていた

閑話休題、バーベキューの話に戻ります。
ドイツはお肉が美味しいのはもちろんのこと、野菜もヨーロッパ各地から集まるので、結構美味しかったりする。
ソーセージだけでなく、グリル用の塊肉も多種多様で素材を豪快に焼くだけで何だか楽しいし、ちゃんと美味しい。

簡易グリルを芝生に置き、素材を乗せてひたすら焼く

スーパーに売っていたBBQ用スペアリブとベーコン。でかい

野菜ではパプリカがお気に入り。すごく味が濃い、特にグリルにすると。
他にも、ベルリンで出会った友人に教えてもらった、マッシュルームとブルーチーズのホイル焼きは毎回仕込んでいく。
なんと言ったって、ワインにもビールにもよく合う。

少し焦げ目がつくまでじっくり焼いたパプリカの甘みに毎度感動

マッシュルームブルーチーズは家で仕込んでいく

グルメな友人たちが主催のバーベキューに参加すると、美味しいお酒としっかり仕込みがなされたハイレベルな料理が並ぶことも。
ローストビーフ、ジャークチキン、デーツのベーコン巻き、などなど。
ベルリンで仲良くなった日本人の友人たちは、料理上手な人ばかり。
長く住んでいる人ほどバーベキューの仕込みが高度で、経験の積み重ねを感じる。
これも立派なベルリンの食文化。

先輩たちを見習って仕込んでみたデーツのベーコン巻き

ベルリンの夏の夜は長く、夏至の頃には22時ごろまで日が出ている。
晴れた日には、バーベキューを食べて、ビールを飲んで、暗くなるまでたくさん語り合う。
仕込みに凝ることもあれば、スーパーで買ったものを焼くだけのこともあるけれど、火を囲んで友人や家族と過ごす時間に、みんなちゃんと幸せを感じているのだと思う。
ささやかで確かな食の豊かさを感じる、ベルリン夏のフードライフ。

 

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