マイ・パスタ・キッチン 〜シェフに教わるお店のパスタレシピ〜

クオーレ・フォルテの「からすみのパスタ」


RiCE.pressRiCE.press  / Dec 1, 2024

下北沢[クオーレ・フォルテ]の羽賀大輔さんに教わる「からすみのパスタ」

下北沢駅からは7分ほど、一駅新宿寄りの東北沢駅からは9分ほど、お店までの歩く時間も楽しみになるそんなイタリアンレストラン[クオーレ・フォルテ]。店主の羽賀大輔さんと若いスタッフさんたちが元気に迎えてくれる姿は、まるで海外の知人を訪ねて来たような、日常と地続きの心地いい非日常感がある。

前回の「レモンのパスタ」に引き続き、今回も羽賀さんからお店のパスタレシピを教えていただく。

教えていただいたのは「からすみのパスタ」。黒板メニューでも2番目にラインナップされるお店の定番だ。

羽賀大輔さん

カラスミパスタと聞いて思いつくのは、ペペロンチーノの上にオレンジ色のカラスミを削ってかけたような一皿では? 日本で一般的に認知されているカラスミは、ボラの卵巣を塩漬けしたもの。しかし、[クオーレ・フォルテ]のカラスミはそれではないのだそう。

「これは、サルデーニャ産のマグロのボッタルガ(カラスミ)です。マグロのカラスミは一言でいえば味がワイルド。旨みがある。ボラの方が脂が多く上品な感じです。サルデーニャ島やシチリア島では漁期が絞られていて5月終わり頃から7月ぐらいまでしか獲ることができないそうで、それを保存食にするためにカラスミにしたり、身の部分を塩漬けにしてハムにしたりするんです」

おお、なんともイタリアの島の風土が香ってくるようなお話!
さらにこのマグロのカラスミを使ったパスタは、羽賀さんが愛するワイン生産者を訪れた時に覚えたものだと教えてくれた。

「シチリアのアリアンナ・オッキピンティのところで作ってもらいましたね。2014年くらいかな。やはりこういう太麺が合う。ワイン生産者さんは料理が上手だし、自分たちのワインを料理に使っちゃうから贅沢。とってもいいワインで煮込んだり、酒蒸しにしたり、シンプルだけどすごく美味しいんですよ」

シンプルだけどすごく美味しい。羽賀さんは自分のお店でもそのスピリットを大切にしている。「原価は高くなることがあるんだけど、作っている方もその方が気持ちいいんですよね。イタリアだったらこうするよねって」。

そもそも家にカラスミがあることって、例えば台湾土産でたくさんもらっちゃった時以外になかなか少ない。ましてやマグロのボッタルガははじめましてくらい。オンラインで探せば見つかるので、羽賀さんの“気持ちよさ”に習っていざ挑戦してみよう。

<材料 1皿分>

【パスタ】大鍋で茹でる
・スパゲットーニ 120g
*茹でる水は鍋一杯に、塩は1%ほど入れる

【ソース】ボウルで混ぜ合わせるだけ
・マグロのカラスミ 3g〜5g
・オリーブオイル 20g
・ニンニク 1片
・イタリアンパセリ 刻んでひとつまみ
・唐辛子 刻んでひとつまみ
・レモンの皮
レモン 1/8個絞る

使用するのは前回と同じく「パスティフィーチョ・ヴィチドーミニ」のスパッゲトーニ(太さ約2mm)

こちらがマグロのカラスミ。「ボッタルガ・トンノ」と呼ばれる。表面の膜を剥がしてから3〜5g程度、グレイターで削ってボウルに入れる。

そこにオリーブオイルを20g、皮を剥いて叩いたニンニク1片を入れる。このニンニクは盛り付けの際に外してしまう。生ニンニクの香りだけを移すというのが一つのポイント。

パセリは葉の部分をあらみじん切りにしてボウルに入れる。今回のレシピはこうやってボウルに材料を合わせておいて、最後にパスタを合わせるだけ!

レモンは皮をすってボウルに入れ、レモン汁も入れる(絞ったレモンをそのままボウルに入れてもOK)。刻んだ赤唐辛子をひとつまみ入れる。

アンチョビはキッチンペーパーで水気切ってから、縦横に刻んでペースト状にしてボウルに。

このような感じで混ぜ合わせたらパスタ受け入れ待機。

スパゲットーニの茹で時間表示は18分だが、例の如く3〜4分は長く茹でる。

パスタが茹で上がったらお湯を切ってボウルに投入。和えたらニンニクは外す。味見をして塩味をチェック、必要なら塩を足そう。

「ニンニクは、生のままと火入れするのとで香りの出方が違う。塊のまま火入れするのか細かく刻んでからするのかでも変わるし。どう作りたいかで、使い方をロジカルに考えられるかどうか。そうやって考えていけば、素人でも美味しい一皿を作ることができるのがパスタかなと思います。家でも美味しいものができるはずですよ!」

お皿に盛り付けて完成!

羽賀さんから激励の言葉もいただき、パスタづくりの扉が一つ開いたような気がします!

シンプルに混ぜあわせただけなのに、いやそれだからこそ、旨みや酸味、塩味がいい具合に混ざり合いながら食べ進められる。そして、太麺スパゲットーニの醍醐味というか、パンチのあるソースを纏いながらもしっかりと小麦の存在感をひと噛みひと噛みで伝えてくれる。現地ではブジアーテ(細い棒に生地を巻き付けてねじれた形状に成形したパスタ)で作ることもあるというから、やはりソースとの絡みのよさ、そしてパスタがそれに負けないことが大事なポイントだ。

🐟「(マグロの)からすみのパスタ」レシピまとめ

1. パスタを茹で始める。

2. ボウルに材料を入れる。マグロのカラスミ(3g〜5g)は膜を剥がしてグレイター(おろし金など)で削る。ニンニク(1片)は皮を剥き包丁で叩き潰す。イタリアンパセリは葉の部分をあらみじん切りに。オリーブオイル(20g)、唐辛子(ひとつまみ)、レモン(1/8個)の皮を削り入れ、果汁を絞って入れる

3. 茹で上がったパスタのお湯を切って、2のソースとボウルの中で合わせる。

4. お皿に盛って完成。

余談になるけれど、このボウル調理はとても便利。明太子と魚醤を主役に、このレシピを参考にして作ってみたところとてもよかった。その際も太麺の方がやはり満足度が高かった。

羽賀さん、大変勉強になるレシピをありがとうございました!

20代前半のスタッフさんたちを指導する姿も印象に残る羽賀さん。ひかるさん(真ん中)とゆいさん(右)の背丈に合わせてかがんで一枚。家族!

クオーレ・フォルテ|Cuore Forte
東京都世田谷区北沢3-20-2 大成ビル1階(Google Maps
17:00〜24:00(23:30 LO)
火曜定休
Tel 03-6796-3241
IG @cuorefegatoforte

Photo by Daikichi Kawazumi(写真・映像 河澄大吉) IG @daikichi_kawazumi
Text & Edit by Yoshiki Tatezaki(編集・文 舘﨑芳貴)

 

 

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