おいしい裏話
「ハード」(RiCE No.38に寄せて)
赤身の肉をがっつり食べるってどうしてあんなに元気が出るのだろう。ヴェジタリアンにはなりたいけどなれないなあ〜、と思う。
この店には海外でも何軒か入ったことがあるけれど、働いている人は基本的にバンドをやってるか音楽好きが多いし、PVもいい感じにかかってるので、そしてたいがい景色もよかったりするので安心できるお店だ。
私にとってはスタバよりもずっとサードプレイスなのだが!
それでもたまにお人形さんみたいなバイトの人もいて、そういうときはちょっとしょんぼりする。
本文で書いたお店は、帰ってからも「あのごはん嬉しかったねえ」と言い合えるようなムードだった。そういう思い出を作るために人は飲食店に入るのでは、と思う。
味だけじゃない。親切さだけでもない。お店に入るって人の頭の中の世界に入ることだから。
Hard Rock Cafe ユニバーサル・シティウォーク大阪店
hardrockjapan.com/location/ucw/
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、2022年8月『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数。近著に『下町サイキック』がある。