水野仁輔のスパイストリップ

「苦労しても楽してもうまい沖縄そば」 in 沖縄・那覇市


Jinsuke MizunoJinsuke Mizuno  / Aug 8, 2018

ほっと落ち着く美味しさがいい

沖縄の街のど真ん中を自転車でさっそうと駆け抜ける。イベントとイベントの合間に4時間ほど空いたから、自転車を借りたのだ。都内もほとんど自転車移動だから、遠征した先で自転車に乗るのは心地よい。向かっている先は、沖縄そば屋だ。友人に薦められた店をマップで検索してみると、それほど遠くない。自転車で30分はかからないな、と漕ぎ始めたら思わぬ落とし穴が待っていた。

緩やかな丘を自転車は登り続ける。地図を頼りに、指し示す方向にひたすら漕ぐが、登り坂もひたすら続いていくのだ。なんのこれしき、と頑張ったが、15分、20分と延々登りが続くからさすがにバテテきた。なんとか到着した店は那覇市内で一番高いところにあるんじゃないかと思うほど見晴らしがよかった。もちろん、苦労してたどり着いたそばは、最高の味である。

麺料理が好きなのに、いつからかラーメンを食べなくなった。歳のせいかもしれないが、「どうだ? うまいだろう?」とマウントしてくるような味に自分の気持ちがついていけなくなっている。その点、沖縄そばはいい。澄んだスープ。何のてらいもなく、余計な主張もせず、ただそこにいる。ほっと落ち着くおいしさがそこにあるから気に入っている。

後日、別の友人に別の沖縄そば屋へ案内してもらった。僕はただ車の助手席でボケーッとしているだけでいい。苦労してつかみ取ったそばとは大違いだったが、そっちもとにかくしみじみとうまかった。苦労しようが楽しようが、それとは関係なく、沖縄そばはうまいんだなと思った。

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