
嗚呼、愛しのあの餃子!
[您好]餃子作りの真髄を見た本物の餃子
好きな街にある大好きなお店。幡ヶ谷の[您好]はかつて私が餃子作りの修行をさせていただいたお店でもある。「餃子作りを学ぶなら絶対您好」と決めていたくらい私は[您好]の餃子に惚れ込んでいた。
修行して思ったことは、[您好]は餃子に対してバカ真面目であるということ。
毎日餃子の仕込みだけで5時間以上。豚肩ロースの塊を大きな中華包丁で刻んで叩く。皮も小麦粉からブレンドして麺台で何度も何度も練り上げる。どれも既製品や加工済みのものを仕入れることはできるのだが、[您好]は全て手作りにこだわっている。餡の味付けには生姜と塩胡椒、醤油、ごま油しか使わない。食材の味や食感をしっかりと引き出してあげれば特別な調味料なんて使う必要はないとマスターは言う。
惜しみない手間と長年培った技術、そして作り手の愛によって[您好]の餃子はが出来上がるのだ。レシピは公開されているが、誰も真似することができない究極の餃子。
改めて餃子作りの奥深さを教えていただいたマスター、タベさん、ナガオさん、そしてスタッフの皆さん短い間でしたが、ありがとうございました。余談だが、修行前は[パドラーズコーヒー]でコーヒーを、修行後は[仙石湯]でひとっ風呂浴びて、[フロウ]で一杯やるのが修行期間のルーティーン。この江戸っ子の職人のような生活がこの上ない幸せで、その数週間後には幡ヶ谷に引っ越してきたのはここだけの話。
您好
東京都渋谷区西原2-27-4 升本酒店 2F
17:00〜22:00 月・日休
Illustration by Yujiro Koyama(イラスト 小山ゆうじろう)
2021年19号 RiCE「餃子がご褒美」に掲載
1987年、東京生まれ。新卒で入社したファーストリテイリング在籍中から餃子愛を温めつづけ、2019年に同社を退職、餃子の道を歩む。愛ある餃子を求めて全国各地を食べ歩き、自身のInstagramやウェブサイト「今夜も餃子とブギーバック」で情報発信を行う。 IG @kebab
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