
エディターズノート
「RiCE」第40号「京都」特集に寄せて
RiCEの第40号は京都の特集です。ついに、やっとの京都。お待たせしました、というか大分遠回りした気もします。
これまでRiCEの場所切りシリーズは、東京を皮切りに横浜、そして台湾へと続けてきました。東京の次は京都でしょ!という大方の予測を裏切るかのように横浜へ、次こそはというタイミングで海を超え台湾へ。まるで京都を迂回するかのような動きでしたが、いや当たらずとも遠からず。告白しますと、なんやかやと自分たちに言い訳を作りながら延期を繰り返してきたフシもあったのです。
何故かと言うと、端的に京都は難しいから。だって、まずネタが多すぎる。日本随一にして世界有数の観光都市であり、寺社仏閣はもちろん見所だらけ。古い街並みは美しく、歩いているだけで楽しいし、鴨川を眺めながら散歩なんて最高。さらに学生街でもあってカルチャー濃度も飛び抜けています。そして言うまでもなく、美味しいお店が各ジャンルめちゃくちゃたくさんあって、掘れば掘っただけ幾らでも出てくる。さらにしかも、一見さんはお断り的な京都コードの存在(常連重視、予約困難、取材拒否等など)まで。こんなに攻略難易度の高いまちって、他にあったでしょうか?
とはいえ、毎年のように春や秋にいろんなメディアで必ずといっていいほど繰り返される定番の特集、京都。それだけ魅力的なまちであり、別格の楽しさに満ちています。訪れる方々がその虜となってリピートを繰り返すのも無理はない。
さてそんな京都ですが、東京と比べれば意外とコンパクトにまとまっています。しかし一旦わけいってみると意外に広く、いろんな街のカラーがあってレイヤーも深い。おそらくローカルにとっても、どの地域にどれくらい在住で、年齢や趣味趣向、どういう職種なのか、によってまったくちがう「京都」が立ち現れることでしょう。
見る人によってプリズムのように違う光を放つ京都というまちの魅力。だし文化を背景にうどん屋と銘打った食堂がたくさんありながら、屈指のラーメン王国でもある。“京都の中華”という1ジャンルが生まれるほど中華料理に愛着をもちながら洋食までもとことん愛でる。茶道と懐石料理の総本山を擁しつつパンとコーヒーを日本一たくさんお腹に納める京都民たち。観光客にまじって昼飲み上等!な呑んべいの側面も。要するに、美味しいものをこよなく愛する食いしん坊だらけのまち。
そんな京都にできるだけ深くわけいって、なるべくいろんな地域住民の方々の声を拾い、さまざまな分野のキーパーソンからの意見を伺いながら、今回の特集は作っていきました。そうした意味で、おそらくこれまでのメディアで見慣れた京都、いわば旅行者に向けた“素の顔”とは一味違った特集になった気がします。
京都ローカルたちが寛大にもお裾分けしてくれた普段のおいしい京都、その多彩にして深い味わいが伝われば幸いです。
- RiCE.press Editor in Chief
稲田 浩 / Hiroshi Inada
「RiCE」「RiCE.press」編集長。ライスプレス代表。
ロッキング・オンでの勤続10年を経て、2004年ファッションカルチャー誌「EYESCREAM」を創刊。2016年4月、12周年記念号をもって「EYESCREAM」編集長を退任、ライスプレス株式会社を設立。同年10月にフードカルチャー誌「RiCE」を創刊。2018年1月よりウェブメディア「RiCE.press」をロンチ。
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