おいしい裏話
「たしかに」( RiCE No.13 )に寄せて
いっしょにオンラインサロンもどきをやっているまみちゃんから聞いた話なのだが、運転しながらモスのドライブスルーでテイクアウトしたモスバーガーを、片手でむしゃむしゃ食べるのが大好きだというのだ。だんなさんが「車の中でものを食べないで」と言っているのを無視して、おいしく食べるんだと言う。 彼女の車はでっかいバンで、中にじゅうたんがしいてあって、子どもたちがくつろぎながら乗っている。夜は長男が自分の部屋として過ごしたりしているそうだ。 法律との兼ね合いはおいといて、それこそが自由を感じる瞬間ではないだろうか? 私はいつも車用のサーモカップみたいなものに飲み物を入れ替えていたが、ある日、時間がなくてマグカップを持って助手席に乗り、コーヒーをちゃぷちゃぷ言わせながらごくごく飲んでいたらとてもおいしく感じた。「ライブ感」、飲み食いにはそれが重要だと思うのだ。 キャンプ的なものとはまた違う、ほんとうの意味でのアウトドアってそういうことなんではないかと思う。
「ばな子とまみ子のよなよなの集い」 https://note.mu/d_f/m/mfccfe3cf3ada
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、95年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞、2022年8月『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数。近著に『下町サイキック』がある。
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