一つ星フレンチ石井真介シェフが海の未来に向けて創る

[Sincère BLUE]で堪能するサステナブルシーフード


RiCE.pressRiCE.press  / Sep 16, 2020

再開発が進む原宿駅から徒歩3分の場所に商業施設[JINGUMAE COMICHI(ジングウマエコミチ)]が9月11日にグランドオープンした。全店舗テラスが設置されているという開放的かつモダンな建物には、日本茶カフェから立ち飲み日本酒バル、北海道や九州など各地の名物料理、そして中華、イタリアン、フレンチまでさまざまな「美味しい」が軒を連ねる。フーディーズにとっては、まるで夢の小径といえる。

なかでも特に夢ふくらむのが、ミシュラン一つ星を獲得するフレンチ[Sincere(シンシア)]の石井真介シェフが手がける新店[Sincère BLUE(シンシア ブルー)]だ。石井シェフは、フランスの星付きレストランで研鑽を積み、2008年から7年間に渡って「日本一予約が取れない」といわれた伝説の店[バカール]でシェフを務めた。2016年に千駄ヶ谷にオープンした[Sincere]は現在都内随一のフレンチとして知られている。

そんな有名シェフのフレンチの新店とはどのようなお店なのか?
キーワードは「カジュアル」と「サステナブル 」の二つと言えそうだ。

[Sincère BLUE]では、石井シェフのフレンチコースが、「テーブルビュッフェ」というスタイルで楽しむことができる。10種類以上もの前菜メニューから、好きなものを好きなだけおかわりすることができる。

加えてメインとデザートまで、一流シェフの味を心ゆくまで楽しむことができる。

▲[Sincere]でもおなじみのたい焼き型を使ったメイン料理「FIP瞬〆鱸のたい焼き」

メニューを改めて見てみると、食欲をそそる料理名の中に「MSC」や「ASC」といったアルファベットが頭についていることに気がつく。『RiCE No. 14 エシカルフードカタログ』をご覧になった読者には、これらが何を示すかがわかるはず。これらは、持続可能性に配慮して漁獲・養殖されるサステナブルシーフードであることを証明するための国際認証だ。メイン料理の鱸(スズキ)には「FIP」とあるが、これはMSC認証を目指した漁業改善プロジェクト実施下で漁獲された鱸だということを示す。こうした水産資源の持続可能性に配慮した食材を使うことが、「Sincère BLUE」を象徴する最大の要素だ。

石井シェフは自らの店舗を営みながら、サステナブルシーフードの普及を目指す料理人のネットワーク「一般社団法人Chefs for the Blue」にリードシェフとして参画している。「100年経っても、豊かな海を」をミッションとして、フードジャーナリストの佐々木ひろこさんと石井シェフをはじめとして東京で活躍するトップシェフ約30名が参加する。背景には、ピーク時(1984年)から1/3以下にまで減少を続ける漁獲量が示す「日本の海の危機」がある。シェフたちは営業後深夜に集まっては議論し知恵を交換しながら、この日本の食における喫緊の課題に向き合っている。Chefs for the Blue発足から約3年半、「未来もずっと、日本の美味しい魚を食べ続けるために」という石井シェフの想いが初めて具現化されるレストランがこの[Sincère BLUE]ということだ。

「この時期に新しくお店を出すなんて普通はないです。でも、このお店は自分たちが考えていたことをまさにお客さまに伝えることができる場所。自分自身、本気でチャレンジしたいと思いました」

▲ 石井真介シェフ

残念ながら、日本のサステナブルシーフードが少ないため、先述の認証を受けた水産物の多くは海外産だ。したがって日本に輸入されてくる食材は冷凍されたものとなる。あるいは国産でも未利用魚と呼ばれる、これまであまり食べられなかった魚種。そうした「素材」を一級品の「料理」に仕立て上げることこそ、料理人としての腕の見せ所と石井シェフは自負する。

味も香りもそして見た目も一流の技術で作り込まれた品々を好きなだけ食べられるというスタイルはやはりすごい。そこには、多くの人にサステナブルシーフードを知ってほしいし、味わってほしいという想いがある。

「資源を守るとかサステナブルというと、『食べないようにしよう』という運動と勘違いされてしまうことが多いです。そうではなく、『サステナブルな食材を美味しく食べる』ということを伝えられれば」

▲ 魚のアラなどを使って作るブイヤベースを使って、誰もが好きなラーメンを作る。カジュアルでサステナブルなお店のスタイルを象徴するようなメニュー

我慢ではなく楽しむこと。難しいことではなくまず味わえること。そうした機会が、他人事ではなく自分事として課題を共有する良い方法となる。

「料理の力」ということまで腑に落ちるような食体験を、ご家族、友人、恋人とぜひシェアしてほしい。

Sincère BLUE
東京都渋谷区神宮前1-23-26 JINGUMAE COMICHI 2F
11:30〜14:00 / 17:00-23:00
月曜定休
コース 4,900円、フリードリンク 3,013円(ノンアルコールのみ 1,883円 )※税サ別
Tel 03-6434-0703
予約サイト:tablecheck.com/shops/sincere-blue/reserve
Makuake(クラウドファンディング):
makuake.com/project/sincereblue
Instagram: @sincereblue2020

一般社団法人Chefs for the Blue (シェフス フォー ザ ブルー)
chefsfortheblue.jp

CREDIT
Text by Yoshiki Tatezaki

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