エディターズノート
「RiCE」第21号「ラーメン」特集に寄せて
2022年初めてとなるRiCEの第21号はラーメンの特集です。ラーメンの特集は二度目になりますが、といってもこの号から手に取られた方もいらっしゃるかと思います。そんな方には、はじめましてようこそ。そしてお馴染みの方ならお気付きの通り、前号の創刊5周年を区切りとしてRiCEは、今号より二度目のフルリニューアルを敢行しました。デザインを変えつつサイズはよりハンディに。値段も思い切って千円未満へと下げました。そして最大の変化は隔月刊化です。2016年の創刊以来、季刊誌として年4回発行し続けてきたのですが、これからは年6回、偶数月6日に発売することに決めました。より皆さんの手にとっていただけるようRiCEは次のフェーズへ進化を遂げるのです。
コロナ禍を潜り抜けつつ明確に新しい時代へと突入する中で、フードカルチャーも大きな曲がり角を迎えています。飲食店の意味合いが大きく変化し、世界中の誰もがライフスタイルの変更を余儀なくされました。また同時に、食の大切さがこれほどクローズアップされたこともなかったと言えるでしょう。環境への配慮も火急の課題となる中、より時代のキーファクターとなる「食」に向き合うには、もっとディープなジャーナル性が求められるし、さらなるペースアップが肝要と感じていました。テーマを「Lifestyle for Foodies」から「Food Culture Journal」へとアップデートしたのはそんなわけです。
思えばラーメンほど、資本主義的な競争原理に晒されているフードもなかなかないでしょう。日本の外食で一番食べられているジャンルであり、インスタントの中食まで含めるととんでもない種類と量が消費されている。その一大マーケットに向けて様々な企業や職人がしのぎを削っています。ニュースになったり社会現象になることもしばしば。なんだか日本社会の写し鏡のような気もしてきませんか。
フードカルチャーをジャーナルする雑誌メディアの新生RiCEは、まずその最たるものとしてラーメンを取り上げることにしました。激動する社会を反映して多様化を極めるラーメンには、熱狂的マニアがたくさんいます。そして近年、グローバルな広がりと共にそれは世界中へと飛び火して、アメリカを中心にラーメンギークがどんどん生まれています。また日本のラーメンを再現するレベルから、現地の食材を使った新しいソウルフードとしてのラーメンが次々誕生しており、その盛り上がりにも目が離せません。
今や日本の国民食からグローバルフードへと進化しつつあるラーメン。一大カルチャーとしてますます広がっていく“フード現象”をまずは概観しつつ、深掘りしたい。特集に「あなたのラーメン」とつけたのは、読者の皆さんにその合わせ鏡としてのムーブメントからより主体的な選択を促したかったから。ラーメンは、男性一人称的に象徴されるマチズモへと収斂するものではもはやない。「あなたのラーメン」がきっと見つかるはずだ。
- RiCE.press Editor in Chief
稲田 浩 / Hiroshi Inada
「RiCE」「RiCE.press」編集長。ライスプレス代表。
ロッキング・オンでの勤続10年を経て、2004年ファッションカルチャー誌「EYESCREAM」を創刊。2016年4月、12周年記念号をもって「EYESCREAM」編集長を退任、ライスプレス株式会社を設立。同年10月にフードカルチャー誌「RiCE」を創刊。2018年1月よりウェブメディア「RiCE.press」をロンチ。
- TAGS