『ブッダボウルの本』出版インタビュー 前編

前田まり子(マリデリ)の作り方


RiCE.pressRiCE.press  / Sep 28, 2018

みなさんは“ブッダボウル”という料理をご存知だろうか。

ブッダボウルとは、穀物や野菜、ナッツなどが一皿に盛り付けられ、最後にはそれら全てをぐしゃぐしゃにして食べる「菜食丼」のこと。アメリカ西海岸が発祥の料理で、近頃ではその見た目の華やかさから日本でもSNSを中心に注目されている。

今年の7月『ブッダボウルの本』を出版されたフード・アーティストの前田まり子さん。今回は、前田さん自身がオーナーを務めている[マリデリ]にて実際にブッダボウルをいただきながらインタビュー。前編では、前田さんのブッダボウルが出来るまでのお話と、「ブッダボウルの本」についてをお届けする。

混ぜると味が変化する絶妙なバランスの一皿

▲ 混ぜても色彩豊かで綺麗なブッダボウル 酸味があったり、甘みがあったり食べる場所によって味の変化があって楽しい

————最初は色とりどりに盛り付けされてますが、混ぜることで味も全く変わりますね。

前田 ブッダボウルはシンプルな材料がほとんどなので。必ず濃厚なものを一つ作って、混ぜた時にそれでバランスが取れるようには作ってるんです。混ぜるとすごい上手い具合に食材同士と交わるんですよね。みなさんそれぞれの味を知りたいから最初は一品ずつ食べて。そこからちょっとずつ混ぜながら食べる人もいますし、ビビンバみたいに一気に混ぜて食べる人もいます。もちろん自分の好みで食べてもらっていいけれど、最終的には全部混ぜた味を知ってもらいたいですね。場所によって味が違うから飽きないんですよ。みんな夢中になって食べてるうちにお腹いっぱいになるっていう。作戦です(笑)。

————ブッダボウルの内容は毎日変わるんですか?

前田 毎日変わります。一応週で考えてるんですけど。大概週の真ん中くらいで一旦用意したものがなくなるので。帰りに寄ったところでなんか見つけたりするとそれが次の日に使ったりして結構変わりますね。

————野菜の仕入れはどうやってされてるんですか?

前田 矢口渡の商店街に、お気に入りの小さな八百屋さんがあって。普通の野菜もありつつ、たまに変わったものが入ってたりして面白いから毎日覗いています。あとは自然食品屋さんとか。家に帰るルートにあるサミットストアに、地場野菜コーナーがあるんです。いろんな生産者が契約してて、毎日いろんな人の野菜が入って。その野菜が結構良いんです。普通なら八百屋さんに出ないような傷の付いているなすとかもあるんですよ。いろんなところから引っ張ってきてるから、毎日何があるかわからなくて面白い。だいたいそこの二つ。今は八百屋さんで見て購入するというのを楽しんでいます。他にも今日みたいに友達から食材をもらうこともあります。

▲ 前田さんが友達からもらったというタイバジル

自身の経験が詰まったレシピたち

————本を出されたことで、お店に来たことがなかった人たちとの出会いなどもたくさんあると思うのですが。

前田 そうですね。インスタで、毎日「ブッダボウルの本」から一品作ってくれている人もいますし。そういうのは嬉しいですよね。さっきも本を購入してくれたお客さんが一人見えて。「自分でブッダボウルを作ってみたけれど、正解がわからなくて食べに来ました」って。そういう方もいらっしゃいました。人に聞かれることで自分のブッダボウルのことを、より理解していくというか。普段無意識に作っているので。

————レシピの横にインスピレーションを受けた映画とかも書かれていて面白いですよね。

前田 映画がすごく好きで。そういうのも少し盛り込みたいなっていうのもありました。『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』という映画に出てくる女の子(ベアトリス・ダル)が大好きで。そこで熱々のチリビーンズを食べるシーンがすごく美味しそうに見えて。あれがチリビーンズの最初の出会いで、その想像も交えて作ろうと思いました。

————本にするにあたって、レシピに落とされたんですか?

前田 そうですね。今まで友達を集めたプライベートなお料理教室はやっていて、毎回テキストをつくったりしていたので、その残っていたものを本の中に落とし込んでいるものもあります。あとは自分が[カノムパン]というパン屋さんをやってた時のプレートのおかずがそのままここに入ってたり。そういう今まで自分の作って来たものを元に載せています。でもやっぱりレシピの分量とかはまったくとってなかったから。本当にそれが大変でした。

————なるほど、普段は感覚なんですね。

前田 今回は致し方ないものに関しては野菜をグラムで表したものも何個かありますが、野菜の大きさも全部違うので。それをどういう風にしたらいいのかなって。悩ましいなと思いました。

▲ ブッダボウルの調理をする前田さん

————なるべく多くのひとにとって分かりやすくしなければならないのは結構難しいですよね。

前田 でもやっぱり、本を見て作ってもらいたいっていうのがあったから。できる限り頑張って出さないとなっていう思いはありました。塩も使ってる種類で違ったりするし。だから本当に難しいですよね。

————巻末に普段使われてる調味料が載ってますよね。あれは親切ですね。

前田 そうですね。あれはいれた方がいいってなったんですよね。

料理は自由に遊ぶような感覚で

▲ 普段前田さんが調理しているキッチン スペースは小さいが、キッチン設備はしっかり整っている。

————使う調味料の違いで味も変わるでしょうね。

前田 変わると思います。けれど、なるべく自由に作ってもらいたいっていうのがあって。子供が積み木で遊ぶような感覚で。だからもし、1回目で失敗してもくじけないで、次こうしてみようかなっていうチャレンジ精神を持って、楽しんでもらえるといいなって思います。あのレシピ通りじゃなくても、お皿の半分のおかずしか作らなくても絶対美味しいんですよ。冷蔵庫の中にこれがあったから作ってみようとか。自分が普段お家で作ってるおかずに合わせて、一皿にしてもいいんだよって。私の中では料理は楽しんで作ってもらいたいというのが強いです。(後編へ続く)


取材日のブッダボウル

ブッダボウルの中身(上部から左周りに)

・切り干し大根
・ゴーヤを塩もみしてすりごまをかけたもの
・紫玉ねぎのピクルスでシナモン風味
・カルダモン風味の人参のピクルス
・プラムのサルサ
・大豆とキノコのトマト煮
・サツマイモのグリル
・バルサミコ酢でソテーしたヤングコーン
・カレーパウダーで味付けしたライス
・フライドオニオン
・サラダ(ケール、レタス、小松菜、アルファルファ、友達が千葉で無農薬で作っているタイバジル)


『ブッダボウルの本』
定価:1480円+税
購入はこちらから

2018.11.18 「ブッタボウルの本」刊行記念 食事会 トークイベント開催!
ブッダボウルを食べながらの贅沢なトークショー。
[マリデリ]のブッダボウルを関西で食べられる初の機会となっているためお見逃しなく。
イベントの詳しい情報は下記のURLよりご確認ください。
http://www.seikosha-books.com/event/3930


前田まり子 (マエダ マリコ)
フード・アーティスト。 イタリア、タイ、インド、カフェ、BARなど様々な飲食店で料理の腕を磨く。2000年夏、葉山に実店舗カノムパンをオープン、パン製造販売/料理の提供/料理教室主催/ラジオ・TV出演など。ヴィーガンフードを得意とする。現在はMarideli helps u lose ur mind名義でランチ、ケータリング、ビーガンベイキング、メニュー開発など、Natural & healthyをテーマに活動中。著書に「ブッダボウルの本」がある。

マリデリ
住所 : 東京都渋谷区恵比寿西2-9-9 代官山テクノビル 2F
営業時間 : 12:00〜15:30
定休日 : 月曜、土曜、日曜
http://marideli.hatenablog.com
@maemaricoconuts

CREDIT
写真 : きくちよしみ
インタビュー : 稲田 浩
テキスト : ささぶち りり子
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